Sweet&Sweet&Sweetest(15)~彼女はとても優しくて~

 今回は軽くエロい☆かもしれませんww(笑)
 でもまあ、具体的な描写って一切ない(?)ので、自分的には「大したことないや☆」っていう感じではあるんですけどね(^^;)
 正直、Lとラケルにあんまりベタベタさせるっていうのは、いまだに軽く罪悪感を感じるというのか……ぶっちゃけ、なんとなくムカつくっていう方がいたらどうしようと思ったりすることが(たまに☆)あります
 う゛~ん、でもでも、小説家になろうさんのアクセス解析とか見てると、ラブあまえっちな回とか結構人数多いんですよwwそう考えると、それなりにラケルも市民権(?)のようなものを得てるのかなっていう気がしなくもありません(^^;)
 まあ、ラケルっていうのはわたしの中で、(特に女性の☆)読者様に脳内変換してもらうための、あくまで標準的なノーマルキャラ(?)として書いてるっていう部分が大きいんですけど(いえ、あんまり自己主張する人だと、Lの探偵としての話が進まないので^^;)、本当はミサミサみたいに元気いっぱいな女の子か、あるいはLCWの真希ちゃんが成長した感じの女性とか――そういうLにないものを持ってる女の子のほうが、意外とうまくいくんじゃないかな~って思ったりもするんですよね(笑)
 単にわたしの中ではLってSSS級のドSキャラ☆なので、基本的に人の下になる、受け身になることって、精神分析的に難しいんですよwwそれよりも相手の弱味を握ってまずは優位に立とうとする感じというか……まあ、そんなわけでわたしの中のイメージでは大体今まで書いたとおりか、↓の文章みたいな感じになってしまうんですよね、どうしても。。。
 そういえば、前に「アクセス解析ってどのくらいのことがわかるんですか」って質問されたことがあったので、一応あらためてここにも書いておこうと思うんですけど……小説家になろうさんのほうは、わかるのって人数だけです。このウェブリのほうもたぶんそうなんじゃないかなって思うので――どこに誰がいつ来たかまでって、わたしにはまったくわからないので、そんなにきゃんり人がねちっこく☆マークしてるとは思わないでくださいねww(笑)
 前のLMNノートの時からそうなんですけど、そもそも解析するほど人が来てるわけでもなんでもないので……その中で同じ人がどこから何人とか、そういうことまで調べようっていう発想がわたしにはないんですよ(^^;)小説家になろうさんのほうは、ユニークアクセスっていうのが毎日でるので、それは一応見るんですけど、これは同じ人が一日に何度アクセスしても、1人として計算されるみたいですね。んで、管理画面のほうに入るとどの小説の何章が特に読まれているかとか、そういうのが人数として出るっていうことなんですよ(たとえば先月はどうだったとか、そんな感じでこれもたま~に見る程度です☆)
 んで、その章分けした人数のところで、わりとLとラケルのラブあまえっち(笑)な回の入ってる章のところはアクセス度が高いっていうことなんですよ♪まあ、そう考えた場合に、そんなに罪悪感(?)みたいなものをべつに感じなくてもいいんじゃないかな~って、そう思うようになったっていうことですね(笑)
 まあ、メロの場合はオリキャラ☆としてラスっていう存在がいるんですけど、彼女は通常ではわたしの中にはいないタイプの女の子で……メロの場合は恋愛でも、相手に一生互角に戦えるくらいの戦闘能力(?)を求めそうだと思ったところから、彼女という存在が生まれました。なので、かなりラスっていうのはわたしにとって新鮮なキャラなんですよね、書いてて。逆にこの間まで連載してたオリエント~に出てくるジェロームタイプは、わたしの書く小説にはタイプとしてかなり多いです(笑)
 んで、ニアたんにも何か恋人らしき存在を……と、かなり無謀なことを考えて結局うまくいかなかったんですけど(^^;)、それでも彼にもし恋人のようなものが出来たとしたら――一応殺し文句みたいなものは用意(?)してました。

   「あなたを、わたしのおもちゃにしてもいいですか?」

 っていうのがそれで、この子もLと同じくSタイプです、わたしの中の分類としては(^^;)
「うわ、大人ニアたん、こえ~!!!一体何するんだろ……☆」って自分でも思うんですけど(笑)、相手を支配するために本当にかなり怖いことをこの子はしそうだと思いました(>_<)
 相手が絶対裏切らないように、自分から逃げていかないように――「おしおき」とか平気でしそうだなあ、ニアたんって……。。。
 まあ、こんなこと書いてるから、「わたしが靴下はかせてあ・げ・る」とか言った瞬間にげしげし☆足蹴にされるっていうことなんでしょうね(笑^^;)
 それはそれとして(どれ??)……↓に書いたとおり、ラケルってわたしの中ではずっと内股でトコトコ歩いてるイメージでした。なので、探偵Lのシリーズのどっかで、描写として内股っていうのは必ずどこかで入れたいと思ってたんですけど――たぶんラケルが内股って書くの、今回が初めてですよね???
 まあ、大したことではないんですけど、ようやくラケルが実は(?)内股だって書けて良かったです(なんとなくww☆)
 このSweet☆シリーズも、ネタはまだあるんですけど(笑)、あんまり毎回ラブあまラブあましてるのもどうかなっていう気がするので(汗)、まあ本編でLたんに真面目(?)に推理してもらうっていうのと、バランスをとって続けていこうかな~なんて思ったりしてます♪
 ではでは、今回もまたL×女性のカップリング☆が苦手じゃない方だけ、↓の文章はお読みくださいね~!!
 それではまた~!!(^^)/





     Sweet&Sweet&Sweetest(15)~彼女はとても優しくて~

 ――わたしがラケルと結婚して、数年が過ぎました。
 ですが、とても不思議なことに、わたしが彼女のことを今現在どのくらい知っているか、理解しているかについては、わたしとしてもいくつか(あるいはいくつも)疑問が残っていると言わざるをえません。
 たとえばつい先日、こんなことがありました。
 彼女が居間で膝頭に滲んだ血を、白いハンカチで押さえていたんです。
「その怪我、どうしたんですか?」と、当然わたしは聞いたわけですが――ラケルは痛みに少しばかり表情を歪めながら、
「歩いていたら、転んだの」と言いました。
「……………」
 その時、わたしはちょっと考えて、次にこんな質問をすることにしたんですよ。何故といって、こんなことは初めてというわけではなく――これまでにも、パリのマルシェで買い物をした帰りに転んだとか、東京の築地市場でフルーツを買った帰りに転倒したとか……とにかく、彼女はしょっちゅうそんなことを繰り返してばかりいたからです。
「ちなみに、どこで、ですか?」
「お庭でね、薔薇に殺虫剤をまいてたの。そしたらサンダルがすっぽ抜けて転んでしまったのよ」
「……………」
 ――わたしには、彼女が転んだ瞬間のことが目に浮かぶようでした。
いえ、ラケルがいつも履いてるサンダルっていうのは、踵が真っ平らですし、彼女がいつも履いてる靴というのも、踵がまったく高くありません。それでもラケルは本当によく転んでばかりいるんです。
「前から、常々思っていたことなんですが……あなたは極度の内股じゃないですか。そして内股のままトコトコ歩いている。言ってみれば、わたしのガニ股とは正反対の歩き方ということですよね?そこでひとつ思ったことがあるんですが――ようするに、あなたがよく転ぶのはその歩き方のせいだと思うんです。わたしも、自分のガニ股歩きを人から直せと言われたとしたら、あまり気分がよくないですし、そもそも猫背を直すつもりもなければ、ガニ股歩きを普通にしようとか、せめてスニーカーの踵を踏むのはやめようとすら、まったく思わないでしょう……ですから、人の歩き方についてとやこう言うのをわたしはまったく好みません。ですがラケルの場合、あまりに転びすぎだと思うんです。その、なんというか、これからあなたのお腹に赤ちゃんが出来てですね、仮にあなたが転んだとしましょうか。その場合、流産の危険性もあるかもしれないと考えて――少し歩き方を変えてみてはどうでしょう?」
 わたしが右手の人差し指を立ててそう提案すると、ラケルはわたしの顔をじっと数瞬見つめて、こう返答しました。やけに間が長かったような気がするのは、それだけ彼女の中で納得するのに手間どったということなのかもしれません。
「……そうね。Lの言うとおりなのかも。わたし、小さな頃からすごく内股で――小学生の時も、運動会のリレーでね、途中で転んでビリになったの。だから過去のトラウマを癒すためにも、これから少し外股で歩くよう、努力してみるわ。それに、内股の人って内気な人が多いっていうから、もしかしたら外股で歩いているうちに、性格が外気になっていいかもしれないし……」
<外気>などというのは、なんともおかしな言葉かもしれませんが、わたしはその理屈でラケルが納得しているのなら、まあいいだろうと思って、それ以上深く追求はしませんでした。そこで、理想的なガニ股歩きについて軽く指南して、チンツ張りのソファのまわりを、練習がてらちょっと歩いてみてくださいと言ったんです。
「こんな感じかしら?」
 ラケルはそう言うと、アヒルのお母さんの後ろを歩くヒナ鳥みたいに――わたしの後ろをガニ股で歩いていました。
「そうですね。まあ、そんな調子です。ラケルの場合どうやら、思いっきりガニ股で歩いたくらいでようやく普通に真っ直ぐ歩けるようですから……これからおんもに出て歩く時には、ガニ股歩きを心掛けるとよいでしょう」
「そうね。ありがとう、L。赤ちゃんが出来てからガニ股歩きの練習をしても、最初は転んでしまうかもしれないものね。なんでも日頃の心掛けが大切だもの……これからは転ばないように、一生懸命ガニ股で歩いてみるわ」
「ええ、がんばって努力してください」
 ところがその数日後――やはりラケルはまた転んでいました。もちろんわたしは彼女に聞きましたよ……あれほど熱心にガニ股で歩くよう心掛けていたのに、何故転んだのですか、と。そしたら彼女、なんて言ったと思いますか?
「えっとね」と、ラケルはどこか照れくさそうに、頬を染めています。
「なんていうか、その……買い物をして、駐車場を車まで歩いてる途中で――ずっと頭の中でガニ股ガニ股って思っていたの。そしたらあまりにガニ股歩きを意識するあまり、かえってそのせいで転んでしまったというか……」
「……………」
 わたしは彼女の言葉を笑ったりしませんでしたし、むしろ真顔でした。というよりこの時――どこか照れているラケルの顔を見て(可愛い)とさえ思ったんです。もちろん、顔に表情としてはまったく出しませんでしたが。
「仕方のない人ですね」と、本当はラケル自身がわたしに対して思っているであろう言葉を、この時わたしは彼女に投げかけました。「膝、見せてください。消毒してあげますから」
「えっと、でも……いいわ。自分で出来るもの」
 そう言ってラケルは、テーブルの上に置いてある消毒液に手を伸ばそうとしましたが――わたしはその彼女の手をがっちり掴んで、その動きを止めさせました。
 そしてそのまま、ラケルの白いワンピースを少しめくりあげると、彼女の足を軽く持ち上げるようにして、その膝をべろりとなめました。
「だ、駄目よ、L。血は汗と一緒で、汚いものなんだから……」
「ええ、知っています。でもいつも、同じようなことをしてるので、べつにいいじゃないですか」
「……………!!」
 あっ、と思わず彼女の唇から艶っぽい声が洩れましたが、わたしは聞こえなかった振りをして、ラケルの膝頭をなめ続け――そして血が乾いたところを確認すると、そこに絆創膏を張るでもなく、足の指やふくらはぎ、それに太腿を順になめていきました。
 彼女の白い肌に赤い血が滲んでいるのを見て、何故だかやけに興奮してしまったんです。
「あっ、いやっ、やめて……っ!!」
 ラケルはわたしのことを押し留めさせようとしましたが、それは土台無理な相談というもので(彼女はわたしほど、指の力が強くありませんから)、結局ソファの上に押し倒され、いつもどおり体中、わたしの口唇紋だらけにされたというわけです。
「すみません、どうしても我慢できなくて……でもこれもすべて、あなたが可愛いのがいけないんです」
「……………」
 ラケルはいつも、こういう行為の後は、言葉が少なくなる人なので――わたしとしても特にそれ以上何も言えずに、ジーンズをはいて自分が仕事部屋にしている場所へ立ち去りました。
 そして、その日の夜にはいつも以上にとてもたくさんの美味しいスイーツに囲まれて、わたしはとても幸せでした。もうこれ以上何も言うことはないくらい、大満足だったと言っていいと思います。彼女が「味のほうはどう?」なんて、聞く必要のないことを珍しく聞いてきたので――思わず、親指を突き立てて無言で返事をしてしまったほどでした。
 その日、わたしは深夜にラケルのいる夫婦の寝室へ足を運ぶと、すやすやと可愛らしい寝息を立てている彼女の隣で、とても不思議な気分になりました。何故って、時々そんなふうにふと、似たような気持ち……ある種の既視感のようなものに襲われることがあって――そもそも<彼女>は何故ここにいるのか、わたしと同じベッドで眠るよう運命づけられることになったのかと、考えてしまうことがあるからなんです。
第一、 つい先日一緒に仕事をした、ジェローム・オルムステッド捜査官がそうだったように――ラケルにはどこか、一目で男の気を惹くようなところがあるんです。
そんな彼女ですから当然、相手がべつにわたしでなくても、それなりに相応しいお相手というのは他にもいたはずなんですよ。でもそうなると、他でもないこの<わたし>自身が彼女の運命をねじ曲げてしまったかもしれないわけですから、ラケルというひとりの個人、世界中にふたりといない女性のことを、わたしは幸せにする義務と権利があるわけで……今はもう、<K>との闘いのことを何も考えなくていいので、話はそう難しくはありませんが、結婚当初はそのことで、わたしも随分悩んだものです。
「ラケルは本当に、今もわたしでよかったと思っていますか?」
 彼女はいつもどおり、よだれを垂らしてぐっすり眠っているので、わたしの言葉に答えようもありません。それでも、何も悩みのない幼児のように純粋で安らかなラケルの寝顔をのぞいていると、不思議とわたしも安心感のようなものが胸にこみあげてきました。
 人は誰かを愛すると、とても強くなる――強くなれる、とよく言いますが、わたしの場合は実は、全然正反対で……愛情というものは(特にこの世界にふたつとないような、強い愛情というものは)、諸刃の刃にも似て、あやうく、そして脆いものだということを、わたしは今ではよく知っています。
 昔はよく、殺人事件の捜査などで、動機があるとすれば気が狂ったような女(あるいは男)の嫉妬心が原因であるといったような場合――わたしはそうした点については紋切り型の推理をしたものでした。人間性のあらゆるパターンといったものを組み合わせた分析結果として、おそらくは……であるだろうといったように類型して考えていたんです。
 でも、自分で本当に誰か愛する人を持ってみると――世界を見る目が180度変わってしまったような気がします。何故といって、たとえばラケルがいつもいくスーパーでも、どこでもいいですが、いわゆる特別懇意にしている男性のような存在が出来たとしましょうか。そしてそれが次第に恋愛感情にまで発展していく……そういうことが、100%絶対ありえないとは言い切れません。
 特に嫉妬が原因の殺人の場合、相手の心変わりと金銭問題が絡んだ結果というのは、動機として実に多いものなのです。そして時にはそれが、ある種の悲喜劇の様相すら帯びて、当事者、あるいは殺人者以外にとっては滑稽に見える場合すらある……そういう例をわたしは数多く知っていますし、特にある一例などは、本当に痛ましい結果として起きた殺人事件があります。
 その妙齢の御夫人は、ある日こんな夢を見たということでした。夫と彼の愛人とが、赤いベルベットのベッドカバーの中で、彼女のセックスのテクニックを笑っていたというんですね。そして赤といえば血の色(そして彼女の燃え立つ嫉妬の強さをも暗示している)であり、その瞬間に彼女は夫と愛人を殺すための決意を固めたというわけです。そして全人生を賭けるほどの情熱を持って、実際に完全犯罪をやってのけた……正直、今も思いますがちょっとした行きがかりのようなものによって、その事件にわたしが心を留めなかったとすれば、彼女の犯罪が暴かれることは決してなかったでしょう。
 わたしはその時、一見完全に見える密室のトリックを暴いたことで、内心鼻高々でしたし――何しろ、わたしがまだ十代の頃に手がけた事件なものですから――この御夫人の心の底にあった本当の哀しみ、気も狂いそうな嫉妬という感情については、実際のところあまり理解していなかったと思います。そして今ごろになって時々こう思うことがあるんです……<本当に自分は正しいことをしたのだろうか>と。
 たとえば仮にもし――ラケルがある日心変わりをして、他の男が好きなった、これ以上あなたのためにスイーツを作るつもりはない、さようなら……といったような置き手紙を残して、予期せぬ時に突然この城館を出ていったとしても、わたしには止める手立てはありません。これまでに嫉妬が動機の犯罪といったものをいくつも見てきましたが、人間というのは本当に、<何故よりにもよってこの人が!>という存在に裏切られることが、実際とても多いんです。そして相手を信じていただけに、打撃も大きい……果たして、自分だけは決してそうはならないなどと、言うことが出来るかどうか、わたしはとても疑問に感じます。
 そしてもうひとつ……もし彼女という存在をわたしから奪い去る人間がいたとしたら、わたしはその相手に復讐し、殺すかもしれないと想像することが、実際時々あるんです。たとえばAではじまる名前のせいもあるのかもしれませんが、ワイミーズハウスのアンダーウッド先生などは、まず筆頭に名前があがるといってもいいかもしれません。その他、恋愛的な事情が絡まない場合でも、交通事故とか――何か不慮の事故によってラケルがわたしの元に戻って来れないような場合……その轢き逃げ犯のことをわたしは地の果てまで生涯をかけて追い続けるに違いありません。
 ですからまあ、なんというのか――今のところ膝の怪我程度で済んでいると思って、わたしも安心していればいいのかもしれないんですが……本当に誰かのことを愛してしまうと、その人がかすり傷程度でも傷つくところを見たくはなくなると、わたしはそう言いたかったんです。そして、本当に愛する人を失った遺族の心の痛みがどんなものかといったことを教えてくれたのも――思えばラケルの誘拐事件があって、本当の意味で感情的に理解できるようになったことかもしれないと、そう思います。
「人の心は決して誰にも、支配するということは出来ない……だからせめて体だけでも支配していたいという強い欲望が、わたしにはあるんです。そうすれば、いつまでもあなたがわたしのそばにいてくれるような、そんな気がして……」
 わたしはラケルの唇の横についた、白いよだれのあとを、べろりとなめました。「ん……」と、軽く彼女は身じろぎしましたが、その様子がいつもながらとても可愛いらしいものだったので、思わず微笑んでしまったほどです。
「あなたは冬の雪うさぎみたいに真っ白で純粋な、可愛い人だと思います。ラケル=ラベットではなく、ラケル=ラビットとでも呼びたいくらい……おそらくはあなたも知っているでしょうが、わたしは本当は腹黒くて策略を巡らせるのが大好きな、根っからの狩人なんです。普段はおもに犯罪者をそうやって捕まえているんですけどね、ある時その網の中に偶然あなたという人が引っ掛かっているのを見て――あえて逃がさず、自分のものにしたくなったんですよ……」
 そう言いながら、わたしは一瞬目を閉じ、そしてラケルと初めて会った瞬間のことを思いだしていました。おそらくラケルの記憶の中では、その瞬間のことというのは、わたしの記憶ほど鮮明には残っていないでしょう……わたし自身はその時、彼女がそのうち自分に色々よくしてくれるようになるとはまったく思いませんでしたし、わたしの風貌やおかしな癖や習慣のことを見て、引き潮の海のようにザザーッという音さえさせてどん引きするだろうくらいにしか考えていませんでした。
 けれど、それがまさか本当に、こんなことになるなんて……。
「神は信じないが、奇跡は信じるという無神論者の医者は実際多いそうですがね、わたしもただ奇跡とか運命というのでなしに、あなたのお陰で神というものを信じていいような気持ちにさえ、今では時々なることがあるくらいですよ……」
 ――わたしはラケルが眠っている間に、時々この種のベッドトークをぶつぶつ独り言のように行うことがよくあるわけですが……その大半の場合、ラケルは実にぐっすりと眠っています。ですが、この時は珍しく目が覚めたらしく、隣にわたしがいるのを見て、まるで幻でも見たかのように、何度か目をこすっていました。
「あら、L。そこにいたの?わたし、夢の中でも帰り道で転んじゃって……そのことが原因でお腹の中の子が逆子になってしまったのよ。それで帝王切開で出産するしかないって、お医者さんに脅されてたところだったの。何もかも自分が悪いんだと思いながら暗い気持ちで家に帰るとね、事情を聞いたLが、逆子を直すおまじないがあるとかで、わたしをソファに座らせて、そのまわりで阿波踊りやインディアンの人たちがするみたいな儀式を行ったりしだしたの……あ、インディアンって差別用語にあたるんだったかしら?」
「まあ、近年になってネイティブ・アメリカンと呼ぶようになったようですが、インディアンという言葉自体が差別用語にあたるかどうかというのは、難しい問題なので今は説明を省きたいと思います……それより、話を聞いているとどうもあなたは、本当におかしな夢ばかり見ていますね。わたしには時々あなたがまったく理解できません」
「わたしだって時々、Lのことがさっぱり理解できないわ」
 ラケルは夢の内容を聞いて、きっとわたしが笑ってくれると思っていたのでしょう……でもわたしがあくまで真顔なままだったので、少しムッとしたような顔をしています。
「赤ん坊のことで思いだしましたが……そういえば、わたしは昔、ラケルとの間に子供さえ出来れば、あなたが一生わたしのそばにいてくれるに違いないと思い――そのことについて随分ジレンマに悩まされた覚えがあります」
「えっと、それはちょっと初耳、かも……」
 ラケルは少し微妙な顔の表情になると、体を起こしてなんとはなし、髪の毛を整えるような仕種をしています。もしかしたら本能的に、これからわたしが重要な言葉を発するものと思ったのかもしれません。
「ようするに」と、この時になってわたしはようやく、微かに笑みを洩らしました――もちろん、ラケルには気づかれないように。「あなたはとても母性的で優しい人ですから、なんの罪もない子供を父なし子にはしようとは思わないでしょう?そうすれば、わたしのことで多少我慢できないことがあっても、子供のためにそばにいてくれるに違いない……そう思ったんです。でもその時にはまだ<K>との決着がついていませんでしたから、あなたとの間に子供を作るべきではないとわかっていて――卑怯なことに、あなたに手をだしていたというわけです」
「でも、その、あの時は……」
 ラケルは少し乱れた髪の毛を、なおも直すようにいじっています。もちろんわたしには、彼女が何を言いたいのかわかっていました。でもあえて、彼女の口から直接その言葉を聞きたくて、黙ったままでいることにしたんです。
「だってわたし――一緒に暮らしてるのに何もされないなんて、かえって不安だったし……だからそれはLだけのせいじゃなくて……わたしも同意した上で、そうして欲しくてされたことだから、なんていうか……」
 彼女の雪うさぎみたいに真っ白な耳は、赤くなっていました。そしてそこにほつれた髪の毛をかけようとするラケルの手をとると――わたしは彼女を振り向かせて軽くキスしました。
「いいんですよ。わかっています……あなたは優しい人だから、男のわたしに恥をかかせたいとは思わなかった。今ではわたしは、こんなに幸せでいいのかどうかと、時々不安になるくらい、幸せです。それも、あなたのお陰なんですよ」
「……………」
 ラケルは少しの間うつむいて、黙りこむと――ほとんど滅多にないことですが、わたしのことを押し倒してきました。そして彼女なりのやり方で、何度もキスを繰り返しています。
「わたし――わたしも……Lといて、とても……」
 それ以上のことはもう、言葉にする必要がありませんでした。幼い頃から肉体的に手を出されないまでも、精神的に母親から彼女は虐待されていたので――ほんの少しでも<自分は必要とされている>という空気に出会うと、そのことのためになんでもしようとする人でしたから……。
 わたしは立場上というのか、なんにおいても誰かの下になるのが嫌だという唯我独尊な性格をしているので、すぐに体位を逆転させました。
 そして昼の時以上に激しく抱きあうと、裸のまま、ラケルの背中にぴったり寄り添い――彼女の耳元にこうぼそぼそ囁きました。
「こんなことをさせてくれるのは、世界中であなただけなんですから……責任をとってほしいと言った時のこと、覚えてますか?」
「バリ島にいた時だったかしら?」と、ラケルはくすくす笑っています。「バリ舞踊を見た夜に、確かL、そう言ったのよね。でもわたし、その時――Lはそのつもりにさえなったら、わたし以外にもきっと絶対そういう女の人が出来ると思うって言ったのよ」
「あの言葉は、衝撃的でした。まさか、あなたがそんなふうに思っているだなんて、思ってもみませんでしたから……てっきりラケルは、自分がいないとスイーツがなくて飢え死にする、可哀想な子供くらいにわたしのことを思っているとばかり思っていました。それに、こんなに我が儘でおかしな男には、他に女性など近寄ってくるはずもないと……」
「だって、世界中には色んな人がいるもの。わたしは、Lってもてないっていうわけじゃなく――職業柄、直接人と出会えないのがLがもてないと思いこんでる一番の理由だって、今も本当にそう思ってるわ」
 そうなんですよ。ラケルはそう言った上、わたしがガムランの音色に合わせてバリ舞踏を踊る女性のことを随分熱心に見てたと言って、その時拗ねた様子さえ見せたんです。わたしはただ単に、あの摩訶不思議な首の動きはどうなっているのだろうと思い、感心してじっと見ていただけだったのですが……。
「そんなことをわたしに対して言ってくれるのも、世界中であなたひとりだけでしょうね、おそらくは」
 ――やはり、わたしには彼女のことがさっぱり理解できないと思いながら、その夜、眠りの底へとわたしは落ちていきました。とても幸せで、満ち足りた気持ちでした。そして朝には、スイーツの甘い香りと紅茶のこおばしい香りで目が覚めて……こんなにラケルがわたしに優しくしてくれることで彼女が得る一番のメリットはなんだろう、などと推理をする時にいつも使う頭脳のほうで考えていました。
 でも、すべての答えは<わからない>――これに尽きると思います。何より、いつまでたっても女性というのは男にとっては永遠にわからないミステリーなのかもしれません……そしてわからないからこそ、永遠の謎であればこそ、こんなにもわたしは彼女に惹きつけられるのかもしれません。
 ええ、わたしがラケルという女性についていつも認識しているのは、すぐ隣にいるのに、いつまでたっても解けない謎、というイメージです。そして唯一わたしが理解しているのは――彼女のことを愛しているという、ただそのことだけなんです。



   おわり




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