BEAUTIFUL DAYS~ORIHIME☆SEVENTEEN~(前篇)

 す、すみませんwwまたしてもひとつの記事に文字数入りきらなかったので、前・後篇に分けることにしました(^^;)
 後篇はまた明日か明後日あたりにでもアップしようと思ってるのでよろしくです♪
 ちなみにこのお話は前に書いた『I’m not Saint,You are not Angel』というお話の続編で……ウルキオラが人間に生まれ変わって織姫ちゃんと結ばれちゃいました的なお話になってますww
 なので、そういう趣向が苦手な方は読まないほうが無難というかなんというか……ごにょごにょ☆
 そもそもウルたんも織姫ちゃんも軽くオリキャラ風味(?)っぽい感じのところがあって(汗)、ある部分ちょっと原作ウルキオラらしくなかったり、織姫ちゃんもなんか現世織姫っぽくないな~☆なんて、自分でも書いてて思ったような次第です
 でもわたしが書いてる二次小説って基本的に全部自分の欲求を満たすためだけのものだったりするので――とにかくこのふたりがラブラブでベタベタ☆であまあまなところを書ければそれで満足だったりはするんですww
 いえ、原作はああでもさ、本当はウルたんと姫は絶対赤い糸で結ばれてるんだい!!っていうところを書ければ、わたしも多少自分の心の傷が癒えるっていう、何かそれだけのために書いたお話とでも言いますか(^^;)
 ちなみに今回ちっともエロくないので、そういう意味ではちょっとつまんないかもしれません
 それと今回は色々と先に言い訳しておかなくちゃいけないことが(汗)……ウルキオラの性格がオリキャラ風味なのは、彼が人間として生まれて育つ過程で体験したことのせいなんじゃないかな~くらいに思ってもらえると助かりますっていうか、嬉しいですwwあと織姫ちゃんも自分で書いてて「ちょっと姫っぽくないかな~☆」なんて思ったりもしたんですけど(汗)、わたしの中では姫って一護くんの前ではいいとこしか見せてないけど、ウルたんの前では結構やなとこも見せられる……みたいに感じるところがあるんですよね(^^;)

 私は聞かない、尋ねない、
 お前に罪があるかどうかを。
 私は、私がおまえを愛していることを知っている。
 たとえおまえがどんな人であろうとも。

 ウルたんの姫に対する愛情って、まさにこんな感じですよねww
 織姫がもしどんなに嫌なみっともないところを見せたとしてもたぶん彼は――むしろそのことのゆえにますます姫のことを愛しそうな気がする(^^;)
 だから姫も普通に(?)怒ったり甘えたりできるのかなあ……と書いてて思ったり。。。
 まあ、でもその部分がなんか姫っぽくないと思われましたら、ごめんなさいっていうお話です
 あと、ヤミたんとワイダーワイスちゃんがちらっと出てくるんですけど――なんかヤミたんがいい人っぽくなってます(笑)ワンダーワイスのことは自閉症児っていうことにしちゃったんですけど、わたしワンダーワイス本当に好きなんですよ!!っていうか、26巻より先に他の巻読んでたので、てっきり最初女の子かなって思ってて(汗)
 うん、わたし『赤毛のアン』が好きなせいかどーか、そばかすキャラ☆に基本的に弱いんですよねwwでもひよ里ちゃんに対しては最初の反応弱かったかないえ、ひよ里ちゃんももちろん好きなんですけど、何故かワンダーワイスのことはもっと好きなんです(^^;)
 わたしがなんでヤミたん好きかっていうのは、たぶん彼がウルキオラを好きなせいなんだと思う。。。
 いや、BL的な意味じゃなくってさ(笑)、彼が仲間としてウルキオラに対しては一目置いてるみたいな、そういう態度をとってるところが好きなのかなあって思います。だからいい人として書いちゃった、みたいな感じかも(^^;)
 それとタイトルの『Beautiful days』は古内東子さんの同名の曲からいただきました♪
 パン○ーンのCMか何かでご存知の方も多いと思うんですけど――自分的には織姫ちゃんのテーマ曲っぽい感じで聴いたりしてます(^^) 
 それではまた、明日か明後日あたりに後篇で~!!(^^)/





       BEAUTIFUL DAYS~ORIHIME☆SEVENTEEN~

 ――ウルキオラと半同棲生活するようになって、約一年が過ぎました。
 週末は大抵一緒に過ごして(ただし、試験前以外は☆その期間は真面目に勉強しろってウルキオラがうるさいので)、どちらかの部屋で食事をしたりどこかへ出掛けたり……あ、そうそう。ウルキオラはあたしのたっての願いで、ホストクラブ・アランカルを半年ほど前に辞めてしまいました。
 でも藍染店長のご好意で、ウルキオラは今も同じ部屋にただで住まわせてもらってるの。
 お互いの部屋を行き来するようになって、すぐに気づいたことだけど――ウルキオラの部屋は藍染さんのお下がりや中古品で溢れ返ってるのよね。
 ウルキオラっていつも素敵なブランド物の服ばっかり着てるなって思ってたら、なんとそれもすべて藍染さんが飽きた服ばかりなんだとか……よく見てみると、アルマーニのスーツとかイッセイ・ミヤケのワイシャツとかカルバン・クラインのベルトとか、一体いくらするのか想像するのが怖いようなブランド品ばかり。
 その他、いらなくなったDVDとか、ゲームソフトに至るまで、一度ウルキオラが冗談で「ここは店長の倉庫みたいなものですから」と言ったとおり、インテリアまでもがほとんどすべて藍染さんの趣味に彩られているのだった。
 たとえば、ウルキオラの部屋にある熱帯魚の水槽も、ある日藍染さんが「飽きたから、あげるよ」と言って、業者の人に持ちこませたものらしく……それでも流石にアランカルを辞める時には、ケジメとしてマンションは出ていきますとウルキオラも言ったらしいのだけれど――藍染さん曰く、
「わたしはね、何も本当に<ただ>で君に部屋を貸してるってわけじゃないんだよ、ウルキオラ。もう少し正確に言うとしたらば、だ。君の将来に投資してると思ってもらいたいね。だから、わたしの見込み違いじゃなければ、必ず元はとれると思ってるんだよ……もしそうならなかったとすれば、それはわたしの見込み違い、計算違いということだから、君が何か気に病むような必要もないということさ」
 まあ、そんなこんなで言いくるめられ、結局ウルキオラは今も同じ部屋に住み続けているのでした。
 そして大学院を来年には卒業することになっている彼は、今は某外国語の塾でスペイン語とイタリア語と英語を教えています。たぶん、卒業する時に大学側に席を得られなかったとしても――それで結構暮らしていけそうな気があたしはするのだけれど、ウルキオラはいつも何か理屈っぽい難しい論文を執筆していて、それがどうも彼にとっての<一番したいこと>みたいだって、見ていてわかるから……哲学科の教授に認めてもらって、大学でそのまま自分の好きな勉強をウルキオラは続けたいのだな、なんてあたしは思っています。
 ところで、週末のあたしたちの過ごし方は、大抵あたしがウルキオラの部屋へ泊まりにいくということになっていたり。
 なんでかっていうと、あたしの部屋にそうしょっちゅうウルキオラが来てしまうと、御近所さんの評判とか、そういうことにも関わってくるからなの。だから、大抵はいつもあたしが彼の部屋へいくことになっていて――掃除したりお料理したり、一緒に夜遅くまでDVDを見たり……えっと、後は一応えっち☆もしたりとか、なんていうか、そんな感じ??(//_//)
 それでね、最初の頃とかやっぱり、掃除しながらベッドの下とかに例の男性の必需品があったりしたらどうしようって思ったりしてたんだけど――なんと、残念ながら(?)一冊も見つかりませんでした!!!!!
 う゛~ん、それともあたしに見つからない場所に、巧妙に隠してあるのかしら??それとも藍染さんはそういうお下がりだけはくださらないのかしら……あたしがそう思って本棚の裏を探して見つかったのが、なんと!!!

       チャタレイ夫人の恋人

 でした。。。
 う゛~ん。でもその本をあたしが「こんなの見つけちゃった」って言ってウルキオラの前に差しだしても、彼はいつもどおりのクールな態度のままで、「ただの文学的な興味から読んだというそれだけだ」なんて涼しげに言っただけだったり。
 大体、ウルキオラの部屋は本が多すぎなのよね。
 キルケゴールにニーチェ、ショーペンハウアー、アリストテレスにスピノザ、カント、パスカル……あたしが手にとってパラパラその中身を読んだだけでも、頭痛のするような文章がそこにはギッシリ☆詰まってて。
 ええと、わかりずらいと思うから、例をあげるとしたらこんな感じなの。。。

 すべての<欲望>は、欠乏、不足それに苦悩から生ずる。充足されると欲望は終わる。だがひとつの欲求が満たされたとしても、少なくとも十指にのぼる他の欲求は満たされないままである。さらに需要は長期にわたり、欲求は限りなく続く。その反面充足は短く、しかもささやかなものである。十分な満足自体はうわべだけのことである。欲望は満足させられると同時に、新しい欲望に場所を譲る。だが古い欲望は既にわかりきった誤りであり、新しい欲望はまだ認識されていない誤りである。確かに欲望の対象が得られたからといって、持続的な、決して逃げださない満足は得られない。こんなものは常に、乞食の今日の生命を保つにしても、明日までその苦痛を延期させるため、乞食に投げ与えられる施し物のようなものにすぎぬ。したがって、我々の意識が我々の意志によって満たされている限り、我々が常に期待しながら、常に恐れている欲望の衝動に身を委ねている限り、さらに我々が欲望の主体である限り、我々は決して持続的な幸福や、落ち着きは得られない。我々が、突き進もうと、逃げようと、不幸を恐れようと、快楽を追求しようと、本質的には同じことである。どのような形態をとろうとも常に欲求する意志への配慮が意識を満たし、絶えず先へ先へと意識を動かしてゆき、止まることはない。だが、真の幸福は不可能である。したがって欲望の主体は、絶えず回転するイクシオンの車輪に結びつけられ、ダナオスの娘たちのように篩(ふるい)で水を汲み、そしてタンタロスのように永遠に喉をからしている(テッサリア王イクシオンはゼウスに罰せられて永久に止まることのない車に結びつけられた。ダナオスの娘やタンタロスの物語も無限の苦しみを示すギリシャ神話)。

 (ショーペンハウアー著『存在と苦悩』より)

 ね?頭が痛くなったでしょ??
 いつも「見るな」と言われてるけど、こっそり見ちゃったウルキオラの論文も、大体同じような論調で書かれていて……本当に、びっくりしちゃう。彼は時々デートしてる最中にぼんやりしてることがあるけれど、こんなことを考えてるのかなあって思ったら、なんだか彼の頭の中を一度<無>にリセットしてあげたくなっちゃったり。
 ようするに、突然キスしたり、何か突拍子もないことをして彼のことを笑わせてあげるとか、そういうことなんだけど。
 この間もね、「織姫、どこか行きたいところはあるか?」ってウルキオラがあたしに聞いたから――「海にいきたい!!」って言ったのね。そしたら案の定ウルキオラったら、いつもどおりどっかぼーっとしてたから、思いきってこう聞いてみたの。「ねえ、何考えてるの?」って。そしたら彼、なんて言ったと思う?
「織姫、地球から太陽までの距離が何万キロメートルあるか知ってるか?」って。
 あたしはまたウルキオラのうんちく☆タイムがはじまったなって思ったから――ただ「ううん、知らない」とだけ答えて、首を振ったんだけどね。
「地球から太陽までの距離は約1億五千万キロメートルだ。つまり、俺やおまえが普段見ている太陽は、手を伸ばせば届きそうな距離にあるように見えて――実際にはそんなにも遠く離れている。とても孤独な感じがしないか?」
「えっと、でも太陽さんは寂しくないとあたしは思うよ。だって地球に住むみんなは、毎日太陽さんに感謝してるもの。作物が育つのも太陽さんのお陰だし、あたしたち人間が健康で元気でいられるのも、みんな太陽さんのお陰だものね。それにえっと、光の速さでいうと地球から太陽までの距離って……」
「一番速い光の速度でも、地球から太陽までは8分20秒かかるらしいぞ、女」
 時々ウルキオラはこんなふうに、あたしのことを昔と同じくただ<女>とだけ呼びます☆そういう時ってね、ちょっとあたしのことを下に見て馬鹿にしてる場合が多いから――あたしは少しの間、ぷうっと頬を膨らませてからこう言ったの。
「ねえ、ウルキオラ。あたしたち人間の思いって、光の速度よりもきっと速いと思わない?それは物理的な時間っていうことじゃなくて……精神的な、魂の時間っていう意味なんだけど。あたしの言いたいこと、ウルキオラにわかるかなあ。たとえばね、あたしが「太陽さ~ん。いつも大地を暖めてくれてありがとう~!!」って、夕陽に向かって叫んだとするでしょ?そしたらね、その気持ちはこの世界でもっとも速いと言われる光の速度よりもっと速く、太陽さんにきちんと通じてるの。だから、ウルキオラみたいに理論でガチガチになる必要なんて、本当はこれっぽっちもないのよ」
「そうか……おまえはそう考えるのか」
 ウルキオラはいつもどおり、何を考えているのかわからない無表情な顔のまま、暫く目を閉じて何事かを考えこんでいる様子でした。そしてあたしはそんな彼の体にどかん!とぶつかっていくと、砂浜の上にウルキオラのことを押し倒しちゃった。
「どうした?今日はいつになく大胆だな」
「だって、本当に海に連れてきてくれるなんて、思わなかったんだもの。だから、サービスサービス
「おまえは、葛城ミサトか……」
 あたしはウルキオラと見にいったアニメのことをぼんやりと思いだしつつ、ウルキオラの唇にそっとキスした。
 その後――水平線に夕陽が没して、夕闇が濃くなると、ウルキオラはマンションへ帰る前に助手席のシートを思いきり倒していました。車の中でするのはこれが初めてっていうわけじゃなかったけど……いつもどおりあんまり唐突な彼の行動に、あたしは少しだけ驚いてしまったり。
「きゃっ!?」
「させろ、女。おまえには俺をその気にさせたことに対して、責任をとる義務がある」
 んも~、どうしてこうウルキオラって言い回しが堅いのかな(//_//)。まあ、えっちが上手だから、なしくずしにされちゃうあたしも、あたしなのかもしれないけれど……。
 ウルキオラは帰り道の途中でソフトクリーム屋さんに寄ると、バニラ味のジェラートをあたしに買ってくれました。彼の言によると、「よかったことに対するご褒美」なのだそうです☆
 こういう時、あたしはたぶんこの人の思考回路を理解することは、きっと一生ないんだろうな……なんて、ウルキオラのことを遠く感じちゃうけど、ジェラートはとっても美味しかったです(^^)ちなみにウルキオラが選んだのはストロベリー味でした。もちろん、言うまでもなく何口かずつ交換しあって――「あたしがストロベリーのが美味しいね」って物欲しそうな目で彼の手元をじっと見つめていると、彼は長い沈黙のあとで「わかった」と答え、食べかけのジェラートの残りをあたしに全部くれました。
 そして右手にバニラ、左手にストロベリーのジェラートを持ってるあたしに対して、「食いしんぼうな女だな、まったく」と、呆れたように――それでいてどこか嬉しげに――溜息を着いていたのでした。

 ところで、ウルキオラがマンションへ戻る前に、立ち寄った場所がもうひとつ……それはレンタルビデオ店でした。
 彼は何故かホラー映画を見るのが大好きで、この日もゾンビ映画を借りてきていました。ちなみに血が大量に流れるスプラッタものも愛好しており、あたしも一時期なんかとウルキオラのこの趣味を理解しようと思ったことがあったけど――所詮は虚しい努力でした
 そして、彼の隣でブルブル震えているあたしのことを抱き寄せながら、決まって彼はいつもこう言います。
「何故こんなまやかしの映像を、おまえはそんなにも恐怖するんだ?こんなものは、監督か助監督あたりが『はい、カット!!』と言ったその瞬間に、俳優が頭のてっぺんに出刃包丁を刺したまま笑顔で起き上がってくる程度のことにすぎん。おまえが今感じている恐怖というのは、それこそそうした連中の思うツボにハマる行為だとは思わないか?」
 ――っていうか、そのDVDを借りてきている時点で、十分ウルキオラも映画配給会社の陰謀にハマってると思うのは、あたしだけなのでしょうか。。。
 まあ、それはそれとして、あたしはその日も結局、夜寝る時にウルキオラにべったりと張りついて眠りました。ウルキオラは「暑いぞ、女」なんて言って、若干不機嫌だったけど、あたしはそんなこと気にしたりしません。
 だって、ゾンビがあたしの足を引っ張って、地中に引きずりこもうとするイメージが頭から離れていかなかったから――ウルキオラには彼らをやっつける責任があるはずなんです!!
 そしたらその日、夢の中でウルキオラが何か緑色の閃光を放って、襲いくるゾンビを次から次へと蹴散らしてくれたの。だからやっぱり引っついて眠ることには意味があると思うって次の朝に言ったら――彼、なんて言ったと思いますか?
「そうか。それは夢分析的にはおそらく、おまえが無意識のうちにもそれだけ俺のことを頼っているということだな。ゾンビは言うなればおまえの心の不安の象徴なんだ……まあ、それを俺が圧倒的な力でもって蹴散らしたというのなら、結構なことだ」
 う゛~ん、ウルキオラが目玉焼きを食べながらそう言うところは、妙に説得力があって――あたしも何故か納得せずにはいられませんでしたww
 その日は日曜日だったけど、ウルキオラは大学のほうに少し用があるとかで午後から四時間くらい留守にしてたの。それであたしが彼に喜んでもらおうと思って、いつもどおり洗濯したりお掃除したりしてたら――不意にピンポーン!ってインターホンが鳴ったのね。
 受話器をとって「どちら様ですか?」って言ったら、向こうからは「あ~」とか「う~」っていう言葉が聞こえてくるばかり……でももちろんあたしには、相手が誰なのかが当然すぐにわかりました!!
「ワンダーワイスちゃん!!」
「あう~!!ま~……」
 その後すぐ、今度は野太い感じのする男の人の声が、受話器の向こうから聞こえてきました。
「がっはっはっは!!お嬢ちゃん、ウルキオラの奴はいるかい?」
「ヤミーさん、こんにちは!!あ、今ウルキオラは留守にしてるけど……よかったら上がっていってください。たぶんもう少ししたら帰ってくると思うから」
「そうかい。今日は歳暮によ、水ようかんの詰め合わせセットって奴を持ってきたんだ。嬢ちゃん、ようかん好きって言ってたろ?」
「わあ、ありがとうございます!!」
 あたしは早速オートロックを解いて、ヤミーさんとワンダーワイスちゃんが20階まで上がってくるのを待ちました。
 ヤミーさんは、ウルキオラが藍染様のホストクラブにスカウトされる前――建築現場で一緒に働いていたことのあるお仲間さんなんです。ワンダーワイスちゃんはヤミーさんとは血の繋がりのない息子さんなんですけど、彼を連れてヤミーさんと再婚した女性が、ある日突然行方知れずになってしまい……以来、ヤミーさんがひとりで自閉症のワンダーワイスちゃんを育ててるってウルキオラからは聞いています。
「久しぶりね、ワンダーワイスちゃん!!」
「あう~!!」
 頭を撫でてあげると、彼はとても嬉しそうな顔をしてくれました。
 そして、ヤミーさんが手に持っているお歳暮の水ようかんのセットを奪うと、それをあたしに渡してくれたのでした。
「今日の晩ごはんはそうめんなんですけど、よかったら一緒に食べていってください。もちろんデザートは水ようかんですから!!」
「なんだか悪ィな、嬢ちゃん。ここへ来るたびにメシをご馳走になってばっかいてよ」
「いいえ、どういたしまして。第一、貧乏だった時、ウルキオラは随分ヤミーさんに助けてもらったって聞いてますから……ウルキオラ、今でも時々ヤミーさんのこと、命の恩人だって言ってるし」
「ハハッ。確かにまあ、そんなようなことも昔あったっけかな」
 そうなんです。スペインから日本へ留学したばかりの頃、ウルキオラは物凄い貧乏だったらしく――それでいて、建設現場でひょろひょろになりながら働いていたとのことで、見るに見かねたヤミーさんが、建築資材をかわりに持ってくれたり、仕事が終わったあと、よく食事を奢ってくれたりしてたとのことで……「あの時ヤミーが助けてくれなければ、自分は仕事をクビになっていただろうし、その上栄養失調で倒れていたかもわからん」と、ウルキオラは言っていました。
 そして、あたしがそうめんを茹でて、なかなか帰ってこないウルキオラのことは放っておいて、先に晩ごはん食べちゃいましょうと言った時――またインターホンが鳴ったのでした。
 今度は宅配業者さんがでて「藍染惣右介様より、お荷物が届いております」とのことで、あたしは印鑑を用意しつつ、業者さんが玄関まで荷物を運んでくれるのを待っていました。
「ええと、中身はパスタ製造機ですね」
 大きなダンボールの荷物を置くと、宅配業者の若いお兄さんは「じゃ、どうも」と言って去っていきました。
(パスタ製造機……藍染さん、また「いらなくなったから」っていうことで、ウルキオラに押しつけあげることにしたのかな)
 あたしがダンボールの箱を開けてみると、案の定そこには一枚の葉書にこんなことが書いてありました。

 ――ウルキオラへ
 突然パスタを麺から作ってみたくなって買ったけど、一回作ってみたら「こんなものか」と思って飽きたから、君にあげよう。
 ウルキオラのいうとおり、深夜の通販番組は本気で見るものじゃないね……。
 まあ、なんにしても君のハニーと小麦粉だらけになってパスタを麺から作るのも悪くはないだろう。
 暇ができたら、店のほうにも顔を見せなさい。
 グリムジョーも張りあう相手がいなくてつまらなさそうだからね。
 じゃあ、また何かあったら我が倉庫に品物を送ることにしよう。

 藍染惣右介


「藍染っていうと、あいつか。ウルキオラが建設現場で働いてる時に、何を思ったのかホストとしてスカウトした奴だろう?なんでも、いいとこのボンボンらしいが――なんにしてもまあ、ウルキオラにもただでこの部屋を貸してくれてるらしいし、金持ちでもきっといい奴なんだろうな」
「う、うん……」
 あたしは藍染さんからの葉書を、微妙な気持ちでぎゅっと握ってました。
 どうしてかっていうと――『店のほうにも顔を見せなさい』って書いてあったから……あたしがあまりいい顔をしないので、ウルキオラもはっきりそうは言わないけれど、今も時々彼はアランカルには行ってるみたい。
 そのことを思うと、なんだか……。
「どうしたい、嬢ちゃん?」
「あ~、う~??」
 あたしが「ううん、なんでもないんです」って無理に笑おうとした時、不意に背後で人の気配がしました。
 ウルキオラが大学で用事をすませて、帰ってきたんです。
「ヤミーとワンダーワイスか。今日は日曜だから、建設現場の仕事は休みだったな、そういえば」
「ああ、ワンダーワイスのことをどっかに連れていってやろうと思ったんだが――家のことをなんやかんや片付けてるうちに、もう時間も午後をまわっちまってたんでな。それでどこか行くとこっつったら、おまえの家くらいしか思い浮かばなかったわけだ。まあ、新婚家庭を邪魔しちゃ悪ィなと思いつつ、ワンダーワイスが喜びそうだと思ったんでな。勘弁してくれや」
「気にするな、そんなこと」と、ワイシャツからネクタイを外しながらウルキオラは言っていました。「遊びにきたければいつでも来ればいいだろう……前にも言ったが、時々だったらワンダーワイスのことを俺が預かってもいい。第一、織姫と俺はまだ結婚したというわけではないからな。ここは新婚家庭ではない」
「ハハッ。形はどうあれ、似たようなもんだろうよ」
 そのあとあたしがはしゃいだ調子で、「水ようかんもらっちゃった!!」と言うと、ウルキオラはなんとなく嬉しそうでした。そうなんです、ウルキオラは羊羹とか、以外にも和菓子系のものが大好きなんです(^^)
 そしてウルキオラはあたしの複雑な気持ちをよそに、藍染さんからの葉書を読み――「流石は藍染様だな。趣味がいい」と一言いっていました。あ、それはパスタ製造機のことではなくて……あたしも最初気づかなかったけど、絵葉書の写真の趣味がいいと、ウルキオラはそう言いたかったみたいです。
 葉書の文字の書かれた面を裏返すと、そこには『チャイルド・プレイ』のチャッキーが写っていて……なかなか凄味のある陰惨な顔をしていました。
 もしかしたら、ウルキオラと藍染さんの間だけでわかるギャグのようなものかしら??と思ったりもしたけれど、あたしには彼の言う<趣味がいい>という言葉の意味がさっぱり理解できませんでしたww

 ↓深い意味はまったくありませんが、参考までに……(いえ、「いらねー☆」って感じなのはわかってます^^;)


 ところで、お菓子だけでなく、ウルキオラは食事も和食が好きです。
 そしてそう麺というのはウルキオラの大好物で――この日、彼は大人気なくも、夕食の席でワンダーワイスちゃんとそう麺の奪いあいをしていました。そうなんです、そう麺には青とかピンクの色つきのものが少しだけ入ってるでしょ?その部分を真剣に取り合ってたの。
「ピンクのほうはおまえに譲ってやってもいいが、青いのは俺のものだ」
「う~ww☆」
 ……結局、ヤミーさんが近くのスーパーまでそう麺を買いに走って、新たに追加で茹でるということになりました。。。
 そしてその時ついでにヤミーさんが花火を買ってきてくれたので、マンションの前にある広場で、花火大会をすることになったの。とても楽しかった!!
 さっきのそう麺の時もそうだったけど、ウルキオラは時々、本当に子供みたいになります☆
 この時も、大人気なくワンダーワイスちゃんと気に入った花火の取りあいをしていて――あたしはヤミーさんと一緒になって、思わず笑っちゃったくらい。
「あいつはよ、恵まれねえ子供時代を過ごしてっから――嬢ちゃん、あんたがそいつを埋めてくれたらって、俺はそう思うんだ」
「え?えっと……」
 いつもはあたしのほうが圧倒的にウルキオラに頼りきってる感じなので……正直、あたしはヤミーさんの言葉に戸惑ってしまった。
「いや、べつに難しく考えることはねえ。ただあいつは俺と同じく不器用な奴だからな……時々その気もねえのに、自分でも気づかんうちにあんたのことを傷つけてるかもしれねえ。けど、大抵のことはあいつが本当はガキで、人並に愛情ってもんを受けずに育ったからそうなんだと思って――大目に見てくんねえかって俺は言いたいだけなんだ」
「ヤミーさん……」
「へへっ。俺も実はあいつと同じく孤児ってやつでよォ、自分のこと捨てた親のことは随分恨んだもんだぜ。捨てるくらいなら、最初から生まねえか、生まれたその日のうちに殺しておいてくれればよ、こんなみっともねえでかい図体、人目にさらさないですんだのにって、今でも時々思うくれえだ。でも人間、生まれちまった以上は、生きていくより仕方がねえかんな」
「で、でもあたし、ヤミーさんのこと好きですよ?それにワンダーワイスちゃんだって、あんなにヤミーさんに懐いてて……」
 ヤミーさんはおそるおそるといったように、あたしの頭を撫でてくれました。まるでその触れ方は、ちょっとさわっただけでも傷つけてしまうのではないかと、怖れているようで――あたしはなんとなく、切なくなってしまった。
「ありがとうよ、嬢ちゃん。あんたは本当にいい子だな……ワンダーワイスが最近犬を拾ってきたんだが、最初はろくに世話もできねえようじゃ可哀想だと思ったから、なんとか捨てさせようとしたんだが――結局のところやっぱり飼うことになっちまった。薄汚ねえ犬だが、これが飼ってみるとなかなか可愛くてな。よかったら今度、ウルキオラと一緒に見にきてくれ」
「はい……!!」
 あたしはそのあと、最後の花火の締めとして、ヤミーさんと線香花火をした。
 ウルキオラの話によると、ヤミーさんの奥さんが出ていったのは、彼に何か原因があったというよりも――自閉症のワンダーワイスちゃんのことで軽くノイローゼ気味になっていたそのせいだろうということでした。
 ヤミーさんは本当はとてもいい人だと前から思ってはいたけれど、この日、彼と線香花火を一緒にしていて、あたしは彼のことがもっともっと好きになったと思う。
 そのくらい、この夜のヤミーさんと一緒にした会話は、あたしにとって忘れられないものだったから……。

 ところで、夏休みも終わりに近い八月も下旬のある日のこと――ウルキオラからワイン・パーティに同伴してくれないかと誘われました。
「えっと、ワイン・パーティって……どんなことするの?」
「ああ、大学の教授が主催する、極内輪のパーティみたいなものなんだが、とにかく異性同伴と正装することが義務づけられてるんでな、俺もおまえを連れていきたいわけじゃないが、とりあえず一緒に来い」
(つ、連れていきたいわけじゃない!?だったら……!!)
 と、思いかけて、あたしは瞬時にして生じた怒りをグッとこらえようとした。
 そうなの――先日ヤミーさんに言われた言葉を思いだして、彼には本当はあたしのことを傷つけようと思う意図はないんだって、必死にそう思おうとした。
「でもあたし、パーティなんて行ったことないし……それに近いものっていったら、親戚の結婚式くらいしか………」
「いや、べつにそう難しく考える必要はない」と、妙にきっぱりとした口調でウルキオラは言いました。「前にも言ったとおり、大学院を卒業後も俺は教授のはからいで大学のほうに残ることが出来た。だがまあ、多少人間関係のしがらみというのか、そういうものがあるんだな。これまでは俺もそういうつきあいをなるべく避けてきたが、今回は哲学科の教授主催のパーティだから――欠席することは出来ない。まあ、そういうことだ」
(まあ、そういうことだって言われても……)
 と思いつつ、あたしはこの時ウルキオラが自分を誘ってくれたことが、少しだけ嬉しくもあったの。
 それに、彼の大学での交友関係とか――今まで知らなかったそういうこともわかるかもしれないと思って、結局のところパーティへ行くことを快く承諾していたのでした。

 ……でも、もしかしたらそれがそもそもの間違いだったのかもしれない。
 ウルキオラが<極内輪の>といったパーティは、実際のところたぶん招待客が百人以上はいるような、ホテルのガーデンで行われる、立食式の派手なパーティだった。
 あたしは、ウルキオラがドレスを買ってくれるというのを断り、貸衣装屋さんでピンクの薔薇のコサージュが襟元についているような、ありふれたデザインのドレスを着ていて――髪のほうはアップにして、時間ギリギリまでしつこく何度も直していた。
 この時、あたしの頭の中にあったのはなんといっても、自分のことをなるべく人に良く見せたいということより、ウルキオラに恥を欠かせたくないというその一心で、爪の桜色のマニキュアが剥がれてないかとか、ドレスが実は貸衣装屋で借りたものだとバレやしないかとか――そんなことばかりが気になって仕方がなかった。
「そう緊張するな。人に話しかけられたら、適当に相槌でも打って曖昧に笑っておけばそれでいい」
「う、うん……!!」
 とはいえ、タキシードを着たウルキオラはやっぱりとても素敵で……あたしは自分が実は彼にとって不似合いな女なんじゃないかという気がして、少しだけ哀しくさえなったくらいだった。
 しかも主催者のエイゼルバーン教授自身が外国人のせいかどうか、やたら金髪の美女やら英語か何語なのかもわからない言葉で話す人が多すぎる……!!
 あたしは、エイゼルバーン教授が最初にスピーチした時にも、それが英語だったために、ところどころしか言っている言葉の意味がわからなかった。ただ、まわりの人に合わせて、みんなが笑ったら笑ったり、拍手をしたら拍手をしたり……そんなふうに振るまうことしか出来なくて。
 本当はこっそりウルキオラに(今のはどこが面白かったの?)って聞いたりしたかったけど、彼はほんの十歩も進まないうちに、あちこちで色々な人に捕まっていて――正直、パーティが終わるまでの間、あたしはほとんど放ったらかしにされていたも同然だった。
 それに、この日あたしが見たウルキオラは、それまでのあたしが知っていた彼とはまるで別人のように見えて……正直いってあたしは、自分がとても惨めでさえあった。
 綺麗な金髪の美人さんに囲まれて、あたしのわからない英語やスペイン語で話すウルキオラ。あたしは彼が気を使って自分の元に戻ってくるたび、正直いってつんと顔を逸らして、(どうぞお構いなく!!)とでも言ってやりたい気持ちでいっぱいだった。
 結局、美人の女性だけじゃなく、彼と話したいというような人が男も女も次から次へと現れるので――自然、日本語しか話せないあたしは、蚊帳の外といったような形になる。
(そっか。そうなんだ……ウルキオラがあたしのこと、連れていきたくないって言ったのは、きっとこういう意味だったんだ……)
 あたしは最初にウルキオラが「入口で会費を払った以上、食っておかないと損だぞ」と言ったとおり、その時やけ食いすることを決意した。
 チーズにワインやキャビア……その他オマール海老のスープとか、ウルキオラが他の人の相手をしている間に色々食べてみた。
 そしてそれはとても美味しかったけど――あんまり緊張して締めつけられていた胃に突然食物が放りこまれたせいかどうか、あたしは突如としてトイレに行きたくなってしまったのだった。
(……もう、最悪!!!)
 そう思いながら、あたしがホテルのお洒落な感じのするトイレに飛びこんだ時――化粧直しをしている女性ふたりがそこにはいて、「あっ!!」と声にだして言われなかったのが不思議なくらいの目で、一瞬じっと見つめられてしまった。
「………?」
 そして、あたしがトイレの個室に入った瞬間に――その聞こえよがしの噂話ははじまったのだった。
「あの子でしょ、ウルキオラの同伴者」
「みたいね。はっきり言って胸がでかいってだけで、大したことないんじゃない?英語もろくにできないみたいだから、ようするにアレよアレ。頭の中身がスッカラカンなスタイルのいいモデルと一緒みたいなもん。体目当てに遊ばれてるだけってことに、本人は気づいてないんじゃない?」
「だとしたら可哀想ね。ようするに処理の女ってことでしょ?彼と対等に話せるくらいの女で、ウルキオラのこと狙ってるのは、ひとりやふたりじゃないっていうことも知らないんだろうし」
「ほんと、お気の毒っていうか、カワイソウ~」
 あたしがどんな顔をして出てくるか見たかったのかどうかわからないけれど――彼女たちはなかなか手洗いの前から去っていかなかった。でもあたしはその時には、声を押し殺して泣いていたので、ポーチの中からコンパクトをとりだして、泣いたあとが頬に残っていないのを確認するまでは、そこから出ていくということが出来なかった。
 そしてようやく彼女たちがいなくなりったあとで、あたしもまた自分の顔の化粧崩れをやや直して――それからやっとのことでトイレを後にしたのだった。
(ウルキオラはもしかしたら、あたしが未成年で処女だったから、責任とらなきゃって思ったりしたのかな……でも、そんなことないよね。それだけじゃないよね……ほんのたまにだけど、愛してるとも時々言ってくれるし……)
 あたしはずっしりと重い気持ちのまま、ホテルのガーデン・パーティへ再び戻り、ウルキオラがどこにいるかと一生懸命探した。その途中で、外人の若い男の人に話しかけられたけど、何分英語なので言っていることがよくわからない。でも彼はすでに相当酔っているような様子で――ぐいっ!と手を掴まれて、どこかへ連れていかれそうになったのには驚いてしまった。
「やめろ、スタン!こいつは俺の連れだ」
 一瞬、まわりの空気がしーんとなり、ウルキオラがあたしのことを守るみたいに、スタンと呼ばれた男の人の手を捻りあげている。
「悪かったよ……けどおまえ、他の女の相手に忙しそうだったからさ、ちょっと代わりに相手でもって、ようするに気を利かせてやったんだろ?」
「余計な世話だ。とにかくこいつは俺のものだから、指一本触るな。わかったか?」
(あ、あれ?あの人ちゃんと日本語しゃべれるんだ……)
 そんなことに妙に関心していると、スタンさんが肩を竦めて去っていったあとで、ウルキオラは今度はぐいっ!と、あたしの腕を痛いくらいに引っぱっていた。
「い、痛いよ。ウルキオラ……」
 ウルキオラはホテルの庭の、人目につかないところまであたしのことを無理矢理引っ張っていくと――ダンッ!と壁に手を叩きつけていた。
「答えろ。今までどこで何をしていた?」
「え、何って……化粧直しにおトイレにいってただけっていうか……」
「本当に、それだけか!?」
 あたしは、ウルキオラが何をそんなに怒っているのか、さっぱりわからなかった。
 というより、こんな一方的な尋問じみた真似は不条理だとも思った。
(あたしが今までトイレで、どんな惨めな気持ちになってたかも知らないくせに……!!)
 そう思うと腹が立って、あたしはこの時初めて、ウルキオラに反抗してやりたいような気持ちでいっぱいになってしまった。
「べつに、ウルキオラに関係ないでしょ!!さっきの人も言ってたとおり、ウルキオラが他の女の人の相手ばっかりしてるから、あたしだって――」
 そう言いかけた途端に、壁に体を押しつけられて、強引に唇を塞がれた。
 押さえつけられた手首に、彼の爪が食いこんでいるのがわかる……その甘美な痛みに、あたしはワインを飲んでいたせいもあってか、気分が高揚していくのが自分でもわかった。
「どうした、俺以外の男のことも知りたくなったのか?だが生憎だったな――俺はおまえのことを手放す気はない」
 ドレスの裾の下からウルキオラの手が侵入してくると同時、彼はあたしの胸の谷間に口接けていた。
 けれど、それを剥いで脱がせるということまではしない……もちろんそんなことは当然だとも思う。もしかしたら、今すぐにでも誰かが近くを通りかかるかもしれないのだから……。
「あ……っ!!こんなところでなんて嫌っ……!!お願い、ウルキオラ………」
「俺の知ったことか」と、ウルキオラはあたしの耳の裏をなめながら、そう囁いた。「大体貴様が、他の男と姿を消したりするから――俺が今まで一体、どんな気持ちでいたと思う?これは罰だ。織姫、おまえが俺のことを傷つけたことに対する……」
「こ、このドレス貸衣装だから、汚したら弁償……」
 そう言うと、また無理矢理唇を塞がれた。
「もう何も言うな。だからドレスは俺が買ってやると言ったんだ」
「あ……っ。あ……ん。あっ……」
 ――そのあと、結局あたしとウルキオラは、パーティ会場から姿を消すしかありませんでした。
 何故といって、あたしは髪も乱れて、胸元にはウルキオラのつけたキスマークがいくつも残っていたから……そんな状態で人様の前に姿を見せられるほど、あたしも心臓の強い娘ではなかったので。。。
 でも、ウルキオラのフェラーリの助手席で、あたしはただひとつのことだけを感謝していました。
 彼が、「これだからおまえを連れてくるのは嫌だったんだ」とぶつぶつ呟いているのを聞いて、何もあたしだけが一方的に嫉妬してたっていうわけじゃないんだってわかったから……。
「あ、あのね、ウルキオラ」と、いまだにぶすっと怒っているような、拗ねているような顔の彼に、あたしはおそるおそるそう聞いてみました。「さっき、あたしが男の人と一緒に姿を消したとかなんとか……どうしてそんなこと、思ったりしたの」
「それは――あれだ」
 ウルキオラはまたブツブツと何かを呟いた後で、ようやく白状しました。
「ふと気づいたら、おまえの姿がどこにもなくて――探していたら、他のなんとかいう男が、おまえが誰か他の奴とホテルの中に入っていくのを見たとかなんとか言うから……」
(ここはもしかして、怒ったほうがいいところなのかな?)
 あたしはそう思いつつも、結局そのまま笑って、ウルキオラのことを許すことにしました。
 最初、ウルキオラがスペイン出身だって聞いた時には――なんとなく漠然とイメージ的に、彼のことをスペイン人らしくないって思ったけれど、今にして思うとやっぱり彼の中にも激しいラテン系の血が流れているのかなってそんなふうに妙に納得してしまう(//_//)。
 なんにしても、ウルキオラがまったく見当違いの誤解をしてくれたことで、あたしは自分の本当の気持ちを白状せずにすんだし、そのことはまた別の機会にとっておくということにしたのでした☆


 >>後篇に続きます。。。




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