探偵L~人狼伝説殺人事件~(18)<中篇>

 さて、それでは前篇でも書いたとおり、中篇の前文はブリーチ☆のことにしたいと思いますww
 いえ、つくづく自分って出会い方的に運が良かったんだな~なんて思ったりしたので……わたしの場合、ウルたんのことを好きになったその時点で、すでにジャ○プ本誌では41巻より先に話が進んでいたんですよ
 なので、アニメでまず破面篇のウルたんが登場するシーンをチェック☆して、その次にコミックスを買いに走りました(笑)でもアニメは37巻のあたりで止まってますから、その後ウルたんと織姫ちゃんがどうなったのかが気になって仕方ない→ジャ○プのネタバレ☆サイト様へGO!!→ウルたんが最後どうなるかがわかって号泣
 まあ、そんな感じでしたww
 でも、最初にウルたんが灰になるって知った時には、ショック☆よりも感動のほうが大きかったんです、実は
 いえ、偶然最初に覗いた先のサイト様の感想がとてもあたたかいものだったので、その言葉に癒されたというか……灰になりかけてるウルたんのことを織姫が双天帰盾で元に戻したのだと信じればいいっていう。。。
 もちろん、あの状態では織姫の能力を持ってしても無理というところを原作者様は描かなくてはいけないわけで、絵の多少の雑さなどを見ても、苦心されたのかな~なんて思ったりもしますww(なんかエラソー☆でごめんなさい^^;)
 うん、本当は別に雑っていうこともないのかも、なんですけど……週間だからこのクォリティなのであって、もしこれが月刊誌だったら、もっと細かいところまで丁寧に描けるものを原作者様は持っておられると思うんですよね。週間の仕事ってハンパ☆じゃなく大変だろうなっていうのはわかるので、これまでそのへんについてはこれといって何か「もうちょっとどうにか☆」とは思ってませんでしたww
 でも――コミックスに収録する際に、雑だったところをきちんと描き直される漫画家さんって結構いらっしゃるじゃないですか。。。
 これまでブリーチ☆ってそういうことってないみたいなので、もちろん期待はしてなかったんですけど――41巻を読んでて「え、えっと、もう終わりなの!?(泣)」っていうのが、最初に読んだわたしの正直な気持ちでした
 その前に色々な方の感想記事などを読んで、「悪いけど、自分的に白けたww」っていう文章やあの展開に対するアンチ的な意見もいっぱい読んでました。んでも、自分で目にするまではぜってえ信じねえ!!と思って、41巻の発売を待っておったのです。もちろん、その前にEnglishヴァージョンの動画なども見てたので、その時点ですでに生傷に塩かわさび醤油を塗りこまれたような気持ちにはなってましたよ??
 でも、ここまであっさりしすぎてるとは予想だにしませんでしたww
 いえ、むしろEnglishバージョンのほうが、カラーな分だけまだ少しは良かったかも……とさえ。。。
 こっちのほうが、1コマ1コマ間を置いてじっくり展開されてる分だけ、コミックスを読んだ時の虚しいようなあっさり感☆が緩和されてるように思えて仕方ないんですよね(^^;)
 まあ、今さら何か言っても仕方ないとは思うんです……こうしてコミックスに完成形として収録されてしまった以上は、ようするにもう「これで納得しろ☆」っていうことで、諦めるしかないんだと思ってます
 ウルたんの過去については、自分でそのうち二次で捏造創作しようと思ってるので、それで心の孔を埋めようとか、虚しいことを考えてたりww
 でもなんといってもわたしがこの展開でも耐えられたのは、ウルたんファン☆の彼を想う力だったと思います。
 ウルキオラを愛するあまり、なんとかこの展開を好意的に解釈しようと色々な文章を書かれてたりとか、あるいは逆に「どうにも許せない!!」っていうその両方の意見や感想にとても慰められました。。。
 コミックスの31巻と40巻は何度読み返したかわからないくらいなんですけど(笑)、41巻はデスノの7巻と同じくらい、読むのがつらいなあ……なんて思います
 デスノの7巻を読む場合は、あのシーンをなるべく避けるようにして最初はページめくってたんですけど、それでもようやく最近は大分免疫がついたかな~なんて思ってたのに、また新しいトラウマ☆が増えたような気がします(^^;)
 まあ、文句ばっかり並べても仕方ないので、41巻を読んで一番良かった点をとりあえずひとつだけ上げて終わりにしようかな~なんてww
 351、『The Lust5』の「はぁ…っ」て上目遣いに息をついてるウルたん……たぶん織姫を押し倒した時もこういう息遣いになるんだろうな!!と思って、かなり萌えました(笑)
 うん、最初にネタバレ☆サイト様であのウルキオラの扱いのひどさを見た時には、正直発狂するかと思いましたが――なんかこう、もうここまでくると、原作者様に文句を言う気力もないような感じというか。。。
 あのシーンで「感動した」っていう意見と、「ウルキオラを生き返らせろ!!」っていう意見と、どっちが多いかっていったらたぶん、後者じゃないかなって勝手に想像するんですけど(^^;)、それもまた原作者様にとっては「感動したがゆえの熱烈な意見☆」っていう解釈なんじゃないかなって思うので……才能があって、その分野で頂点に近い地位を得ると、人の意見を聞けなくなる部分ってあると思うんですけど、原作者様がせめてもウルファン☆の意見に本当の意味で耳を傾けてくれたらいいと思います。。。
 嗚呼、このこと書くと暗くなるとは思ってたけど、本当に暗くなりました
 自分としても、ブログの中で誰かを批判する文章とかって書くの本当は嫌なんですよww
 その場合は記事として取り上げずにスルー☆する方向でいきたいと自分的には思ってて……まあ、書くにしても何か映画見て、「この部分はよかったけど、この部分はイマイチ☆だった」っていう程度のことしか書きたくないんですよね(^^;)
 でもほんと、ウルキオラに関しては、もう言葉もないっていう、そんな感じです
 なんか暗くなっちゃいましたが(汗)、後篇の前文はモンゴメリのことについて(明るく?)書きたいと思ってます~!!♪
 それではまた~!!(^^)/



       探偵L~人狼伝説殺人事件~(18)<中篇>   

「そうですね……一体どこからお話すればいいやらと思いますが、ワイミーさん、あなたはやはりそこまで裏をとっておいでだったんですね。あなたが最後にうちへお見えになられた時――僕は少しの間、席を外しました。というより、そうせざるをえないようにあなたに仕向けられたんですよ。そしてあなたはタンスの奥の隠し扉に気づいたという証拠をわざと残していかれました。僕はポリーに発見されて以来、その扉に南京錠をかけていたんですが――その錠がわざと外された上、そのまま放置されていましたから。その日あなたは何食わぬ顔をして僕と握手して帰られましたが、あなたが僕を囮に……罠にかけるつもりだということが、僕には最初からわかっていたんです。ちょうどあの、ロスファイエ・ホテルの殺人犯にしたのと同じようにね」
 ロスファイエホテル殺人事件の犯人逮捕の過程については、また後に詳しく述べることとして――今はエドガー・ヴォーモン殺害事件についての話をこのまま続けよう。
「僕は電話ですぐに、アデルにこのことを相談しました。今度という今度こそは、運命の手からは逃れられないと思うと……ワイミーさんはすでにお気づきでしょうが、ヴォーモンが死んだ夜、ケンジントンパーク近郊から彼に電話をかけたのは彼女です。もちろん声のほうは機械によって音声を変えてありましたけどね……僕はマーフィ村長の声のサンプルを録音しておいて、コンピューターで合成ヴォイスを作成しておいたんですよ。つまり、『我々の集会に今夜参加したいなら、夜の二時頃、妖精の泉までやってくるといい』とね……長年、この村特有の男だけによる伝統的な会合からのけ者にされてきたヴォーモンは、喜び勇んで出かけてきました。そして三日間水しか与えられなかったルディに、無残に喰い殺されたというわけです。ヴォーモンのことを殺したのも、ポリーのことを殺したのも、ルパートのことを殺害したのも……実行犯は全部この僕なんです。だから、アデルは本当に何ひとつ悪くなんかない。僕は自分の犯行であることを自白した手紙を書いて、ルディと一緒に死ぬつもりだと彼女に告げました。そうしたらアデルは……あなたが死ぬつもりなら、自分もそうすると言ったんですよ。そしてどうせ死ぬ覚悟がお互いにあるのだから、その前にもう一度だけ賭けにでましょう、と。言い逃れをするわけではありませんが、正直僕はワイミーさんを殺すことについては、ポリーやルパートを殺した時以上に気が進みませんでした。彼はオオカミの魂といったものをよく理解している人です……そんな人のことを殺めることは出来ないと僕が言うと、アデルは――『それならわたしがやる』と言ったんです。そしてその結果が」
 と、ここでどこかすまなそうに、ジェフリーは自分の恋人、アデル・クラインと一瞬目を合わせてから言った。
「今のこの状況なわけです……みなさんはもしかしたら、ここロスファイエ村ともヴォーモン氏ともなんら関係のないように見えるこの僕が、何故彼のことを殺害せねばならなかったのか――おそらくとても不思議に思っているでしょうね。僕は本当は……エドガー・ヴォーモンと血の繋がった実の息子なんです。僕の母親はヴォーモンの愛人だったんですが、あいつは母が僕を妊娠していることがわかるなり、堕胎のための費用を渡して、母とは縁を切ったそうです。僕の母はおそらく、その時に貰ったお金で僕のことを生まない決断をすべきだったんですよ……僕はわずか四歳の時に自閉症と診断されて――母はどうにも手に負えない僕のことを、アメリカにある自閉症児専門の施設へ入れました。こう言うと、母のことを子を捨てたひどい母親と思う人もあるでしょうが、僕は母のことを恨んではいません。だって、いつも四つん這いで歩いて、絶対に人と目を合わせないような子供を他に一体どうしますか?自閉症というのは完治が不可能な病気とよく言われますが、僕の場合はその後、例外的に比較的よくなりました。僕のいたその施設ではドッグセラピーというのが行われていて――いつも僕は犬の群れと一緒に行動していました。たまたま僕の担当だった先生がとても理解のある人で、僕には何か動物に対する極めて特殊な力があるようだと察して、犬と一緒に暮らすという生活を僕に許してくれたんです。僕は九歳になるまで二本足で歩くということをしませんでしたが――十歳になるかならないかという時に、何故か犬の群れから締めだしをくらいました。そんなことが果たしてあるものかと疑う人もあるでしょうが、それはたぶん犬たちなりの、僕への最大の愛情だったに違いないと、僕は今でもそう信じています。僕は父からも母からも愛された記憶がまるでないのですが、その分を補うように、犬たちが僕を愛してくれました。そしてもうひとりで生きていけるはずだというように――彼らは僕のことを引き離したんです。もちろん最初はわけがわからず、とにかく混乱して悲しいばかりでしたが、その後僕は不思議と、ほとんど奇跡的といってもいいほど良くなりました。犬の仲間でいられなくなった以上、人間になるしかないと僕自身が心の奥底で決断した結果だったのかどうかは自分でもわかりませんが、とにかく僕は二本足で歩くようになり、人と目を合わせて話すことも覚え、障害者にだされる特別奨学金を貰って大学にまで進学しました。といっても、僕は自分に興味のあること――動物たちに関することについてのみ異常なほど博識だというだけで、他の分野に関しては――特に数学については今も、ジュニアスクールを卒業した子供程度の知能しかありません。まあ、なんにしても大学の教授たちに気に入ってもらえた僕は、彼らについて世界中を旅し、色々な動物の研究データを取りました。ところがそんな生活をこれからもずっと続けたいと思っていたある日のこと――僕はまた病気にかかってしまったんです。幼い頃そうだったように、四つん這いになって歩き、動物の生肉を貪り食べ、理性を失くした虚ろな目をするようになったんですよ。当然僕は精神病院に入れられ、医者からは一生彼はここから出ていけないだろうと言われていました。僕はアフリカのシャーマンから以前、霊に乗り移られやすい体質だから気をつけろと言われたことがあるんですが――僕に表れていた症状というのはいわゆる、ライカントロピーと呼ばれるものに酷似していました。僕は毎日、自分が理性を失くした獣になる夢を見ては、とても脅えていたんです。満月の夜が近づくと、ことさら症状がひどくなって……目がつり上がり、手足がピンと突っ張って、ひどい時には痙攣して泡をふき、何度も倒れたりしました。僕が暴れて手に負えないというので、拘束具を着けられたりもしましたが、それを自力で破ってしまうくらい、僕は物凄い怪力の持ち主だったんです。もともと体質的に毛深かったんですが、体中の体毛も著しく濃くなって、病院の看護婦たちから<オオカミ男>と仇名されるくらいでした。そんな僕がどうやって病気から立ち直ったのか、みなさんは不思議に思われるかもしれませんが――とにかく、気がついたらいつの間にか治っていたとしか、僕には言えないんですよ。聖書にも、イエス・キリストが悪霊を追いだす場面があるでしょう?言うなればちょうどあれと同じような感じかもしれません。自分にとり憑いていた何か悪いものが出ていったという感触……僕の中に残っていたのは、ただそれだけでした。
 病院を退院後、僕はまた<目に見えない悪い奴ら>が自分にとり憑こうと狙っているのではないかと脅えながら――療養を兼ねてあちこち旅するうちに、ふとこう思ったんです。自分は何故こんなにも苦しみの多い一生を歩むことになってしまったのか、そのルーツはもしかしたら、何か家系的なことに由来するのではないか、とね。そこで僕は何年も前に結婚して健康な子供にも恵まれている母に、再び会いにいきました。そして知ったんですよ……エドガー・ヴォーモンという呪われた自分の父親の名をね。その時の僕は、とても心が荒んでいて――ヴォーモン氏に娘がいるということがわかるなり、すぐに彼女のことを調べあげて、ロンドンにアデル・クライン・ヴォーモンという女性のことを訪ねていきました。その時の彼女は白衣の天使そのものといってよく、僕の目には幸福そうに光り輝いて見えたものです……でもそんなふうに彼女がいかにも優しげに微笑んでいられるのも、父親が裕福な政治家だからなのだろうとか、僕にはそんなふうにしか思えませんでした。その影で僕や僕の母が泣き暮らさねばならなかった年月のことを思うと――僕は彼女は思い知るべきだという気持ちに、その時すぐなったんです。そしてアデルにうまく近づき、いかにも彼女に恋をしているという振りを装いました。僕は彼女が心の底から愛そうとしているのが実は、半分血の繋がった弟であることを知ったら、一体どんな顔をするだろうと、自分の復讐心を満たすことで頭がいっぱいだったんです。そして子供が出来た頃にでも彼女を捨てようと考えていました……そして父親のエドガー・ヴォーモンに手紙を書いて『おまえの娘は今妊娠しているが、そのお腹の子はおまえが昔捨てた女の子との間に出来た赤ん坊だ』と教えてやるつもりでした。『俺はそんな近親相姦して出来た呪われた子など欲しくないから、最初に罪を犯したおまえが娘に堕胎費用を出してやるがいい』と……ですが、その計画は結局中止せざるをえなかったんです」
「何故なら、あなたはその時にはもう――半分血の繋がった姉である、アデル・クライン・ヴォーモンのことを愛してしまっていたから……そうですね?」
 Lが平板な、なんの感情もこもらない声でそう訊くと、ジェフリー・アイズナーはただ、力なく首を左右に振っていた。
 まるで、自分の彼女に対する想いは<愛>などという陳腐な言葉だけではとても語り尽くせないとでもいうように。
「愛……愛ね」
 突然くすくすと、アデルはさもおかしげに笑っていた。
「確かに、すべてをジェフリーに打ち明けられた時は、ショックだったわ。昔のドラマで時々、そんなパターンのがあったでしょう?実は血の繋がった兄妹が、そうとは知らずに愛しあい……みたいなやつ。でもあたしたちは、血の繋がりなんかに怯まなかったの。古代エジプトなんかじゃむしろ、近親婚なんてあたり前だったでしょ?もし仮に子供ができたとしたら――あたしは絶対に生むわ。血の濃い子供は異常を発生しやすいから生んじゃいけないなんて、あたしはそんなこと思わないもの。あたしの母はね――とても不幸な人だった。政治家として成り上がりたかった父に利用されて、結婚後はスポイルされたも同然だったの。ここにいる人たちはみんな、父が嫌いでしょうけど、あたしもあんな男、大っ嫌いよ。あの男はね、とにかく身近にいる人間を不幸にするの……利害関係が絡んだ場合だけは別だけどね。そういう意味では確かに、政治の世界には向いていたのかもしれないけど、母はあいつの欲望の道具に使われて、揚げ句に神経衰弱で亡くなったし、あたしの兄は父に反抗するあまり、早くに家を出てそのまま戻らなかった。戻らないって、どういう意味かわかる?死んだっていうことよ。自分で事業を起こして、借金で首がまわらなくなって――最後に自殺したの。兄はきっと……父にだけは金のことで頭を下げたくなかったのね。たったの五万ユーロくらい、父は頭を下げて頼めば、ぽんと出してくれたでしょうに。でも、あたしの父ってそういう人なの。一度そんなふうにして相手が弱味を見せたが最後――そのことを盾に、最後の骨一本までしゃぶり尽くそうとするような、本当にいやらしい人間だった。あの男が十歳も年の離れた女と再婚するって聞いた時も、心底相手の女が気の毒で仕方なかったわ。何故ってあたしの母と同じく――結婚するまではいい人間の面だけを見せられてたんでしょうからね。でもあたし、あのアニスっておばさんのことは結構好きだと思ったわ。葬式の時に初めて会ったけど、あたしたちは一目会った瞬間にお互いをわかりあったの。わざわざ言葉になんてしなくても、本当にすぐわかったのよ――彼女もまた、あたしやあたしの母や兄が経験した<あれ>としか呼びようのない苦しみを味わわされたんだっていうことがね」
「つまりは、そういうことです」
 愛する恋人と、ルディのことを交互に見つめながら、ジェフリーは放心したように言った。まるで自分の視界には、そのふたつのものしか実際目に入っていないような、奇妙な顔つきを彼はしている。
「僕は確かに最初は、復讐が目的でアデルに近づいたんですが――彼女の口からエドガー・ヴォーモンという男がどんな人間で、彼が家族に対してどんな仕打ちをしたかを聞いて、当初復讐として思い描いていた事柄が、まるで意味をなさなくなってしまったんです。それに、アデルの母親が神経衰弱になったきっかけは、おもに愛人のこと――つまりこの場合僕の母のことですが――が原因だと聞いて、愕然としました。僕や僕の母という存在が、そんなにもひとりの女性を苦しめていようとは思いもしませんでしたから。結局のところ、エドガー・ヴォーモンという男は膵臓ガンで余命幾ばくもなかったわけですが、僕はどうしても自分のこの手であの男のことを殺してやりたかった。そしてアデルもまた、僕のその計画に賛成してくれたんです」
「なんということだ……」
 呪われた血による、殺人の連鎖――村長であるジャック・マーフィは、そのことを思って愕然としていた。
 そしてその場で話を聞いていた村人の全員が、ポリー・シェルダンの父親も婚約者のロバート・オーエンも、ル
パート・オコノフィの父や兄やおじたちも――あまりのことに、言葉もなく呆然としているような有様だった。
 そこへ、Lがあくまでも客観的な第三者として、あるいは公正な裁判官として、こう口を挟む。
「わたしのほうから、少しだけよろしいでしょうか」
 実際には、少しだけどころでなく長い話になるとわかっていながら、Lはあえてそう切りだした。
「アイズナー博士とアデルさんのお話は、実際普通に考えられるよりも根が深い問題なんです。もちろん警察の人間が彼らを逮捕した場合――この村に代々伝わる呪われた血が殺人を犯させたかもしれないなどと言っても、判事も検事も陪審員も、聞く耳を持とうとはしないでしょう。ですがわたしは――この場にいる人たちだけは、これからわたしがしようとする話を理解してくれるものと信じています。
 十七世紀頃、ここロスファイエ村を含む、近隣の地方一帯は英国から来たプロテスタントの領主によって強制的に支配されていました。彼は重税をとり立てた上に、美しい娘を見れば自分のお手つきにするような、やりたい放題のひどい領主で――ある時、今でもこの地方では英雄として知られるジャック・マーフィという男が、彼を討伐すべく立ち上がるんですね。この人が今のロスファイエ村の村長であるマーフィ氏の先祖にあたる人物なわけですが――彼らはいつも、狼の仮面を被って身元がわからぬようにしながら、領主側の軍隊と戦っていたんです。キリスト教が伝わってからもこの地方一帯では狼信仰が盛んだった、その名残りでもあったんでしょうが――結局、英本国から軍隊が到着したことにより、その反乱は鎮圧されてしまいます。ところがその後、残虐な領主だったエドワード・オフェイロンは、謎の病いに倒れました。彼が森で狩猟を楽しんでいると、一匹の様子のおかしい狼が現れて、オフェイロンに突然噛みついたんです。当然、その狼はその場で即座に射殺されたのですが――数日して、そのひどい症状からオフェイロンが狂犬病に感染したことがわかりました。当時、狂犬病に対するワクチンなどは当然ありませんから、目も覆いたくなるようなひどい苦しみを味わい尽くしたあとで、オフェイロンはやっとのことで亡くなったと、古文書に記録として残っている文章を読みました。
 ところで、あなたたちが聖狼の滝と呼んでいる場所にある洞窟ですが――あの場所は、相当古くから村の人たちが重要なことを決めたり、また呪術的な儀式を行うための場だったのでしょうね。びっしりと壁に描かれた絵や、オガム文字の石碑を見ていて、そのことがよくわかりました。それに火を焚いたあとや岩のテーブルの上に、狼のお面や狼の毛皮で作った衣装などがあるのを見て――あなたたちが今もその伝統を守っているらしいということもわかりました。ようするに、エドガー・ヴォーモンが遺言状の中で言っていた『聖なる狼の腕に抱かれて、シャムロックの下に黄金は眠る』という言葉は、この洞窟のことを差していたんですよ。実際、本当に見る目のある、値打ちのわかる人間にとっては――たとえばキンドレイ博士などにとっては――あの洞窟には黄金に等しいくらいの価値があると思います。なんにしても、この場合問題なのは、ヴォーモン氏が何故そんな遺言を残したかということですが……」
「ハッ、知れたことよ」と、村一番の酒飲みとして知られるランダル・バスキンが鼻を鳴らして口を挟む。「あいつは、自分だけが村の集会に加えてもらえねえってんで、そのことをずっと嫉みに思ってたんだ。だからあんな暗号めいた言葉を、いかにも意味ありげに残しやがったのさ。大体、あんな金の亡者みたいな人間が、赤の他人にわざわざ黄金なんか残すわけねえだろうが」
「そのとおりです」解説ありがとうございます、というようにLは微かに笑って、話を続けた。「わたしは最初、その暗号がもし文字通りだったとしたらと考えて、実際に金が出るかもしれない場所を、地質学的によく考えてみました……そしてここを掘ればもしかしたら金が出てくるかもしれないポイントがあるんですが、その場合どう考えても――『聖なる狼の……』という暗号には合致しないんです。となると残りの可能性は、たった今ランダルさんがおっしゃったようなことしかなくなるわけなんですよ。そこで、もう一度同じ問いを重ねますが――何故ヴォーモン氏はそんなことをしたのでしょう?もちろん嫉みや僻みといった気持ちもあったでしょうが、単純にそれだけではなく、彼はこの村の人たち全員に、自分の死後、大きな復讐を成し遂げたかったんだと思います」
 Lがそこまで言い終えると、村の男たちは全員「ずっとボンクラな振りをしていながら、この男は一体どこまでのこと
を知っているんだ?」というような、猜疑の表情を浮かべていた。
「ヴォーモン氏の現在の邸宅が建っている丘の上方に、その昔エドワード・オフェイロンが居城としていた城の跡がありますね。今ではすっかり壊されて、建物の礎石と物見やぐらくらいしか残っていませんが――そこに、地下牢に通じる穴がまだ残っているのを見て、わたしは少しばかり驚きました。この場所は、わたしが古文書と照らし合わせたところによれば、エドワード・オフェイロンの息子である、トマス・オフェイロンが死ぬまでずっと幽閉されていた場所なんですよ。エドワード・オフェイロンの息子のトマスは、豪胆な父親には性格的に似ても似つかず、とても臆病で繊細な人間だったと伝えられていますが――彼の父親のエドワードが狂犬病に感染して亡くなった時、息子のトマスはたったの八つでした。そして彼は、おそろしく苦しみ呻きながら、最後に断末魔の雄叫びを上げて父親が死ぬのを見て――いつか自分もそのような形で死ぬことになるのではないかと、<死>というものに対して非常な怖れを持つようになります。エドワードの六人いる子供たちの中で、息子は彼ひとりでしたから、自分もまた領民たちに呪い殺される運命にあるのではないかと、彼は深刻に脅えていたらしく、親しいつきあいのあった従兄弟宛てにそうした自分の悩みを書き綴った手紙を送ったほどでした。そしてそんな折も折、この地方一帯を狼とも野犬ともつかない一匹の獣が、領民を喰い殺してまわるという事件が起こります。このあたりのことについては、三百年近く前のこととはいえ――相当詳しい記述が文献などに数多く残されているので、その正体は今もって不明であるにしても、なんらかの恐ろしい獣が実在したということだけは確かなようです。領民たちは自分たちの憎き領主が苦しみ抜いた揚げ句に死んだと聞いて、小躍りして喜んだそうですが、その喜びも束の間、今度は魔犬の脅威にさらされることになり、狼に噛まれて死んだ領主が、そのような形で地獄から復活を遂げたのだと言う者まであったと、文献には書かれています……そしてエドワード・オフェイロンの息子のトマスもまた、その頃に重篤な病いに陥っていました。先ほどアイズナー博士のおっしゃっていた、いわゆるライカントロピーという症状です。トマス・オフェイロンは手足がピンと突っ張って、突然狼のような姿勢をとったかと思うと、ほとんどの人が手もつけられないような怪力を振るったらしいんですね……元が繊細で大人しい人だっただけに、その変化の違いは目を見張るばかりだったという記録が残っています。結局のところ彼はそのような状態が長く続いたために、家督を継ぐことが出来ず――彼の従兄弟のスラッドフォード卿がこの地へやって来て、かわりにこの地方一帯を治めるということになったわけです。彼は変わり果てた姿の従兄弟のことを気の毒がって、生涯その世話をしたということですが、症状があまりにひどい時には地下牢に閉じこめて、鎖で手足を拘束したこともあったということでした。その後トマスは従兄弟の献身的な介護が功を奏したのかどうか、大分症状が緩和して元のとおりになったらしいのですが――ここでまたもうひとつ悲劇が起きてしまいます。スラッドフォード卿の妹とトマスは恋仲になるんですが、スラッドフォード卿はそのことを許さず、ふたりの仲を引き裂いてしまうんです。トマスは愛する人と無理やり引き離された失意のあまり、ついには神経衰弱となって亡くなるんですが、スラッドフォード卿の妹がその時に生んだ子供というのが、トマスの子だったらしいんですよ……彼女は結局、兄の画策によってイングランドの貴族と結婚させられてしまうんですが――彼女は自分の日記にはっきり、その時お腹の中にいた子はトマス・オフェイロンの子供だったと書き残しているんです。そして運命の巡りあわせというのは実に不思議なもので、トマス・オフェイロンとスラッドフォード卿の妹との間に出来た子は、再びここアイルランドの地を踏むことになるんですね。そしてその子孫の系図がエドガー・ヴォーモンにまで繋がることになるんです。ここまでで、わたしの言いたいこと、大体おわかりいただけたでしょうか?」
「よくそこまで、調べあげたものですな……」
 ジャック・マーフィは驚きとも諦めともつかない、複雑な顔の表情をしたまま、疲れたように片手で額を覆っている。
 ここまでのことを彼が知っているからには――当然、九年前に起きた事件についてもわかっているに違いないと思い、マーフィは突然周囲の空気が薄くなったように、息をするのが苦しくなったほどであった。 
 村の他の男たちは、そこまでのことにはまだ思い至っていなかったものの――それでもやはり、マーフィの顔の表情を複製したような、一様に複雑な表情を顔の表面に張りつけている。



 >>(18)後篇に続きます……。




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