両手いっぱいのマーガレット(前篇)

 久しぶりに少し長めのウル×織SSです♪(^^)
 いえ、長めのショート・ストーリーってなんか矛盾した言葉だと思うんですけど、それは「まあいい」(BYウルたん☆)
 何日か前かに書きはじめて、おとつい書き終わったんですけど――ほんと、このお話先に書いておいてよかったです41巻が発売になった以上、かくなる上はウルたんと織姫にラブラブしてもらって、自分の傷心を癒す以外ないと思ってるので(^^;)
 さてさて、今回のお話の傾向と対策(?)はですね、

 バカップル度:★★★★★★★

 えっち度:★★★☆☆

 くらいの感覚でお読みいただければと思います(^^;)
 ようするにエロ☆度は比較的低くて、バカップル☆度が高い、と(笑)
 あと、内容的なことは大体、自分の趣味に走ったようなことになってます(いつものことだけど
 まあ、ウルたんのキャラソン♪によると、>>そこに誰もが微笑む花が咲いていようとも、望まれたのなら踏み潰す……っていうことだったので(笑)、密かに彼が花の愛好家っていうのはありえないんですけど(笑)、でもいいんだ、ウル×織は設定自体が原作ではありえない、叶わぬドリームなんだから
 そんなわけで(どんなわけで??)、↓のお話の中には色々な花や花言葉がでてきます。
 んでも、花言葉を符号させるために、大体ほとんど花の季節感を無視させていただきました
 一応自分的な感覚の中では、藤が咲いてアイリスが咲いて薔薇が咲いて……って、そういういつ頃その花が咲くかっていうのはわかってるつもりなんですけど、なんか藤の花をバックにしたウル×織、アイリスの花をバックにしたウル×織、薔薇のアーチをバックにしたウル×織……って色々欲張った結果、最終的に「季節感は無視しよう!!」っていうことになりました(笑^^;)
 あとはちょっと、どうでもいい花の解説でもしようと思います♪(^^)


 ↓アイリスの花言葉は『わたしはあなたを愛します』、『恋のメッセージ』、『吉報』、『雄弁』など。ちなみに、ギリシャ語で虹(Iris)という意味の名前なのだとか。イリスはギリシャ神話の虹の女神で、エロスのお母さんみたいです(笑)

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 別名「虹の花」とも呼ばれている「ジャーマンアイリス」。 多彩な花色をもち、フリルがついた花弁や芳香


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 ↓カランコエ。花言葉は『あなたを守る』、『おおらかな心』、『たくさんの小さな思い出』など。昔、花屋さんでアルバイトしてた時、カランコエの上に「頭がよくなる花」とか「お金持ちになれる花」とかいう紙がのってて、軽く受けましたwwそして「お金持ちになれるんだって!」とか言いながら本当に買っていくお客さん……まあ、「頭がよくなる花」っていうのは、受験生にでも買えばいいかもだけど、その理論でいくと花枯らしたらビンボー☆になるってことだぜ、お客よ!!とか心の中で思ってました(笑)

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 ↓姫睡蓮♪花言葉は、『清純な心』、『甘美』、『優しさ』、『信頼』、『純情』、『信仰』など(^^)

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丈夫な黄花の姫スイレン(温帯性)一株での発送となります。入荷状況などにより、抜き苗またはポットでの発


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 ↓カンパニュラ♪花言葉は『感謝』、『誠実』、『思いを告げる』など(^^)

春まきでも年内開花する!分枝が多く花つきのよいカンパニュラサカタカンパニュラ 涼姫の種
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コメント ラプンクルス種初の一代交配種で極小輪のカンパニュラになります。地際や側枝から沢山分枝し、そ


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 ↓話の中にでてくるのはサフィ二アなんですけど、これはペチュニア。サフィ二アの画像がなかったので、かわりに貼ってみました(^^;)サフィ二アはペチュニアの改良品種なので、まあそんなに変わらないといえば変わらないですよね。サフィ二アもペチュニアもホームセンターとかで1ポット100円くらいで売っていて、とても育てやすい花だと思います♪

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 ↓忘れな草。画像わかりにくいと思うんですけど、クリックしていただけると、可愛いブルーの花を確認してもらえると思います♪花言葉は『わたしを忘れないで』。青だったら、『真実の愛』という意味もあるみたいです(^^)

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忘れな草10個セットです。入荷時期によって青色単色になる場合があります。 送料 \630より(


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 う゛~ん一応作中にでてくる花を、少しだけ軽く紹介してみましたww
 でも結局これって商用なので、「あれ?なんか普段庭とかで見かける花と違うよーな☆」と思われるかもしれません(^^;)いえ、わたし自身が貼っつけててそう思ったので。。。
 一口にカンパニュラって言っても色んな品種があったりで、あと花の本など見てても、写真うつりの良しあしで、花のイメージってガラっ☆と変わってしまうことがよくあるんですよね(少なくともわたしの場合はそう^^;)
 写真うつりがショボい☆ので、なんかイマイチ☆な花だなあって思ってたら、実物はすごい美人(美花??)だったとかって、時々あります。逆に、花屋のカタログの写真があんまり素晴らしすぎて、実際自分で育ててみたら、「あれ?なんか違う子??」みたいなこともあったり(笑)
 なんにしても、織姫の六花がやっぱりなんといっても花の形状をしてるので――彼女がウルたんに花言葉教えてあげたりしてるといいな♪と思ってこの話は書きました。まあ、細かい設定とかでちょっとおかしいところがあるんですけど、所詮二次と思って笑って流してくださいww
 それでは続きはまた中篇で~!!(^^)/


       両手いっぱいのマーガレット(前篇)

 ――ありがとう、黒崎くん。
    さよなら……。

 あたしは涙をふいて黒崎くんの部屋をでたあと、電車の終電に乗って<ある場所>へと向かっていた。
 ウルキオラ・シファーという名の破面が指定した、0時という刻限まであと約一時間――あたしはふたりしか乗客のいない電車に揺られ、『空座町植物園』という駅で下りた。
 同じ車内にいた酔っ払いと思しきおじさんは、千鳥足とまではいかないまでも、かなりあやしい足どりで、線路の上にかかる歩道橋を渡っている……そして同じ車内にいたもうひとりの人は、あたしの一歩後ろくらいのところを背後霊のようについてきていた。
「あなたが指定した場所って、空座町植物園じゃなかったんですか」
 微かに敵意のこもる声音で、あたしは階段を上がる途中で振り返り、そう聞いた。
「そうだ。だが、おまえがもしその場所へ向かうとすれば電車とかいう乗り物しかないだろうことは明白だったんでな。一応、何かあった時のための護衛としてついてきた」
(――逃げるなら、今のうちだぞ)
 暗にそうウルキオラ・シファーという名の破面は、強い眼差しだけで問いかけていた。
「……………」
 あたしはくるりとまた正面に返ると、階段を上り、線路を見下ろし、そして駅の改札のあるプラットフォームへと向かった。
 ここから空座町植物園までは歩いて七分くらいの距離。にも関わらず、わざわざ時間前に迎えにくるだなんて――彼が何を考えているのか、あたしにはさっぱりわからなかった。
 でも、それでいて……同じ電車の中にいた時、窓に姿の映らないウルキオラさんは、何故だかとてもあたしの気持ちを惹きつけていた。両方のポケットに手を突っこみ、酔っ払いのおじさんに特に注意を払うでもなく、ただ窓外の明るい金の月を眺めている彼は――破面というよりも人間に近い感じさえするのが、あたしは不思議だったのかもしれない。
「どうして、待ち合わせ場所が植物園なんですか?」
 切符を改札機に入れるでもなく、無言で彼がそこを通り抜けようとした時、何故か突然ブザーが鳴った。
 もちろん通せんぼをする板が出てきても、ウルキオラさんにはまったく関係なかったけれど……あたしは機械が強い霊圧に反応したのだろうかと思い、少しだけおかしくなってしまった。
 それでつい、顔の表情が緩んでしまい、後ろの彼を振り返ってそんなことを聞いてしまったのだった。
「俺がこちら側にいることがソウルソサエティ側にわからぬように――一時的にこの近辺には霊圧を遮断する特殊な空間の霊壁が形成されている。そのぎりぎりの境界線が、途中で俺が電車に乗ったあの場所だということだ」
「な~るほど!」
(ザ・ワールド☆なんて言ってもわかるわけないよね……)
 なんてことを思いつつ、あたしはすぐ隣のウルキオラさんのことをちらっと見上げた。
 正直、自分が乗った駅の次の次の場所で、彼が普通に電車に乗りこんで来た時には――何か自分が命令に反することでもしてしまったのかと思ったけれど、そういうことではまったくないらしい。
「えっと、でもどうして植物園なんですか?」
「……………」
 あたしがどこかおどおどびくびくするように、さらにそう聞くと、ウルキオラさんは突然黙りこくってしまった。
 そして、あたしの三歩くらい先を歩いていきながら、
「とにかくついてこい、女」
 とだけ言ったのだった。
 もしかしたらウルキオラさんは、いちいち貴様に説明する義理などないと思っていたのかもしれないし、あるいは説明するために口を動かすのが面倒だったのかもしれない。
 でもあとからあたしが知ったところによると――ガルガンタを開くための座軸として、その植物園の園内にある場所が、もっともソウルソサエティ側に知られずにすむであろう地点だったらしく……。
 とにもかくにも、この時あたしは、ただ黙ってウルキオラさんの後についていくしかなかったのだった。

 現在、時刻は午後の十一時二十三分。
 当然ながら、植物園の閉園時間はとっくに過ぎていて、緑色の鉄の門が入口には閉められている。
「どうした、女。例のブレスレットを渡しておいたろう……まさかとは思うが、なくしたというわけではあるまい?」
「は、はいっ。もちろん!」
 なんでもないことのように、さっさと門をすり抜けていくウルキオラさん。
 それであたしも、「よいしょ」などとつい口走りながら、緑色の鉄製の門を通り抜けたのだった。
「来い、女。こっちだ」
 あたしは足の速いウルキオラさんのことを、急いで追いかけた。
 当たり前のことだけど、植物園には人っ子ひとりいなくて……なんだかとても不思議な感じだった。
 入園料を支払うための受付の場所をすぎると、電灯に照らされた何百というビオラやサルヴィアやマリーゴールドといった花の植えられた通りへと出る。
 レンガの敷かれたその場所を右にいけば売店やレストランなどがあったし、左にいけば子供が遊ぶためのアスレチック広場があるのだけれど――ウルキオラさんはそのうちのどちらでもない道、縁を自然の石に囲まれた茶色い土の道へと向かっていた。
 そこは入口が薔薇のアーチで出来ていて、ピンクや白の薔薇が鉄製のアーチにところ狭しと絡まり、快い芳香を放っている。
 ウルキオラさんはその薔薇の門の下で、あたしのことを待ってくれていた。
「ごめんなさい、ウルキオラさんっ。でも、出来ればもう少しゆっくり歩いてほしいっていうか……」
 薔薇のアーチのところまで来るのに、道が軽く傾斜して坂道になっているため、あたしは少し息を切らしてそう言った。
「わかった。いいだろう」
 ウルキオラさんは必要最低限の言葉だけでそう了承すると、くるりとすぐに踵を返して、また歩きだしている――でも、心なしか今度は先ほどよりもゆっくりとした歩調だった。
 薔薇のアーチをくぐり抜けると、そこには両側にカンパニュラや忘れな草やリナリア、ロベリア、ヘリオトロープといった花々が実に配色よく並んでいて、見る者の目を楽しませてくれる。たぶん、春から秋にかけていつでも花が咲いているように計算して植えてあるのだろう。ここの空座町植物園にはこれまで何度かきたことがあるけれど、アーチに薔薇やクレマチスが絡んでいなくても、道の両側にはいつも季節ごとに違った花が咲き乱れているのだった。
「あ、あの、ウルキオラさんっ。アイリスの花言葉って知ってますか?『わたしはあなたを愛します』って言うんですよ。もし、好きな人からこの花をプレゼントされたりしたら……」
 ひたすら無言に歩くのもなんなので、あたしは道の両脇に生えるアイリスの花に気づくと、そんなふうにウルキオラさんに言ってみた。そしたらウルキオラさんは興味を示してくれたのかどうか、一度ピタリと立ち止まってくれたのだった。
「女、何故そんなことをこの俺に言う?」
「えっと、だってただ黙ってもくもくと歩いてたんじゃ、気まずいかな~なんて……」
 わしわしと髪の毛をかきながらそう答えると、ウルキオラさんは何を思ったのか、今度は淡いピンク色のタチアオイを指差していた。
「じゃあ、この花は一体なんだとおまえは言うんだ?」
「えっと、立葵の花言葉はですね、『大きな望み』とか『野心』、あとは『熱烈な恋』とか……そんな感じじゃなかったかなあ」
 ウルキオラさんは「そうか」と短く答えると、またスタスタと先を歩いていく。
 そしてあたしはその時にふと――こう思ってしまった。
(えっと、破面さんって、心がないんだっけ?でももしウルキオラさんに花を見て美しいと思ったり、月を見上げて綺麗だと感じる気持ちがあるなら、それこそが“心”っていうものなんじゃないのかしら)
 あたしは、電車の中で満月の光をじっと見つめていたウルキオラさんのことを思いだし、何故だかそんなふうに思った。そう――植物園の中に電灯はところどころしかないけれど、それでも月明かりのお陰で、花の美しさを堪能することは十分に出来ていた。
 そして、夜気と薔薇の香りの混ざった匂いをかいでいると、あたしはとても不思議な気持ちになる。
 これから自分は、ウェコムンドなんていうとても恐ろしい場所へ行かなくてはならないのに――その恐怖や不安といった気持ちが、一時的にせよ、とても和らいでいるということに気づいて、あたしは前を歩くウルキオラさんのことを、今までとは少し違う気持ちで見返していた。
 
 大体3メートル置きくらいにある薔薇のアーチの下を進んでいくと、その先は藤棚のある、小さな休憩所のような場所だった。
「わあ~、綺麗♪」
 満開の白や紫の藤の下には、緑色のベンチがふたつ置いてあって――あたしは少しの間立ち止まって、そこからの景色を楽しみたいと思った。
 見ると、あまりの美しさのせいか、ウルキオラさんまでもが足をとめて、藤の花の下、月の金色の光を見上げている。
「確かに、綺麗だな」
 そう独り言のようにウルキオラさんが呟いたのを聞いて、あたしはなんとなく安心してベンチに腰掛けた。
 もし彼が「こんなところで愚図ぐずしている暇はない」とでも言えば――その時に立ち上がればいいと思っていたから……。
「女、この花の名前は一体なんなんだ?」
「藤ですよ、藤。ウルキオラさん♪」
 あたしは、頭上から垂れ下がる藤の花に手を伸ばしてウルキオラさんに向かってそう答えた。
「えっと、花言葉は確か――『歓迎』、『恋に酔う』、『佳客』、『決して離れない』などです!」
 ちょっと得意げにそう解説すると、ウルキオラさんは心なしかふと、少しだけ笑っていたような気がした。
 もしかしたらそれは、月の光が見せた幻のようなものだったかもしれないけれど……。
「『佳客』か。まるでおまえのことのようだな」
「え、えっと……」
 あたしはそこで、ふと言葉に詰まってしまった。
『佳客』というのは確か――好ましい客人とか、よい客、賓客といったような意味だったと思うから、彼ら破面たちにとって、あたしは本当にそのような存在なのかどうかと、ちょっとの間考えこんでしまう。
「そろそろ行くぞ」
 ベンチの上で俯いていると、ウルキオラさんがそう声をかけた。
「は、はいっ!!」と返事をして、あたしはまた、彼の三歩後ろくらいのところを慌ててついていく。
 藤棚の休憩所を抜けた先は、竹林になっていて――そしてその先が、睡蓮が浮かぶ池になっているのだった。
「ウルキオラさん、この花の名前、知ってますか?」
 藤の名前も知らないくらいだから、たぶん知らないだろうと思って、あたしは彼にそう聞いてみた。
「いや、知らんな」
 月光に照らされた池には、蓮の花がいくつもいくつも浮かんでいて、とても綺麗だった。
 ウルキオラさんはそんな光景にうっとりしているあたしには構わず、緑色のボートがあるところまでスタスタ歩いていくと、おもむろにそれに乗りこんでいる。
「乗れ、女。面倒だが、この池の真ん中にある島のところからじゃないと、今日はゲートを開くことができんのでな」
「えっと、そうなんですか……」
 あたしは「そうだ」というように頷くウルキオラさんに促されて、ボートに乗りこんだ。
 するとすぐに彼がオールを漕いで、池の真ん中に位置する小島へと、ボートは水面をすすんでいく。
 もちろん小さな池なので、中央の小島のところまで行くのに三分とかからないのだけれど――本当ならボート小屋のところで五百円支払った恋人たちは、藤棚のかかる緑色の太鼓橋のところでちょっとボートを停めたりだとか、そんなことをしたりするのよね……。
 あたしはその時、奇妙な気持ちでちらっとウルキオラさんのほうを見やっていた。
 すると彼もまたどこかぼんやりと、オールを漕ぐ手をとめていて――水面に映る蓮の花をじっと見つめていたのだった。
「女、この花の名前はなんというんだ?」
「あ、睡蓮のことですか?」と、あたしは笑って言った。だって、さっきから何度も花の名前を聞こうとする彼は、なんだかまるで――小さな子供のように思えて仕方なかったから……。 
「睡蓮っていうんですよ。ちなみに花言葉は、『清純な心』、『優しさ』、『信頼』などです!」
 あたしがまた少し得意げにそう解説すると、ウルキオラさんはぽちゃり、と白い手を水面にひたして、姫睡蓮のほうに手を伸ばしている。
「この花は……何故咲いていないんだ?見ると、他のもどうも、花を閉じているものばかりのような気がするが……」
「あ、睡蓮はですね、太陽さんが昇りはじめる朝方から午後くらいにかけて咲くんですよ。そして太陽さんが沈む夕方には、もう花を閉じてしまってるの。寿命は大体三日か四日くらいで、そのあとは潔く散ってしまうっていうか……」
「そうか」
 ピシャッ!とウルキオラさんは手の水を払うと、またオールを漕ぎはじめている。
 何故かあたしはこの時、彼がどこか悲しそうな顔をしているように思えて――やっぱりそれもまた、月の光の見せる幻、感傷のようなものだったかもしれないけれど――あたしはウルキオラさんが喜ぶような、元気になるような一言を言ってあげたいような気持ちになっていた。
「女、こっちだ」
 池の島の縁にはしだれ柳がたくさん植えられていて、その真ん中にもまたたくさんの花が群れをなしている。
 ヤグルマソウにマーガレットにデイリリー……あたしはその中で一等かぐわしい香りを放っている月見草を見つけると、ウルキオラさんの服の裾を引っ張って、その花が咲いているところまで半ば強引に連れていった。
「ねえ、ウルキオラさん。とっても甘い、いい香りがするでしょう?この花は睡蓮とは逆で、夜に花を開いて翌日にはしぼんでしまうっていう花なの。えっと、確か花言葉は『無言の恋』だったかなあ」
「……じゃあ、こっちのは一体なんだ?」
 あたしはウルキオラさんが関心を示してくれたことが嬉しくて、彼が指差した先にある、白いマーガレットの花を一緒になって覗きこんでいた。
「えっと、この花はマーガレットって言って――ギリシャ語で真珠っていう意味なの。花言葉はね、『心に秘めた愛』とか『真実の愛』だったかなあ」
「そうか」
 ウルキオラさんはそう言うと、ぷちり、とマーガレットの花を一輪手折って――あたしの耳元にかけてくれた。
「そろそろ0:00になる。ゲートが開いたら、俺のすぐあとについて来い。わかったな?」
「あ、はい……えっと………」
(――この花の意味は、一体どういうことなんでしょう?)
 なんて、今度は逆にあたしのほうが聞いてみたかったけれど、ウルキオラさんは池のある一点をじっと凝視しているきりだった。
(そっか。そうだよね……あたしのことを早めに迎えに来たのもきっと、この時間に遅れないようにするためで……ウルキオラさんのすることにはみんな、きちんと意味があるんだ。どうしてかな、あたし。なんか今変なことを期待してたような気がする……)
 それでもあたしは、自分の耳元にかかったマーガレットの花に手をやって、少しだけ嬉しいような気持ちになっていた。これから行くウェコムンドと呼ばれる場所が、どんなところなのかはわからない。それでも――アランカルにも花を愛でるような心があるのなら、何かが少しは安心できるような気がしていた。
「行くぞ、女」
 バシャアアアッ!!とガルガンタと呼ばれるゲートが開くと、あたしはごくりと生唾を飲みこみ、厳粛な顔つきになってウルキオラさんのあとについていこうとした。でも……。
「どうした、早く来い」
「あ、あたし……」
 しだれ柳が風に揺れるその先、池の上の部分に真っ黒な虚空が広がっている。
 月の光に照らされた今までの<闇>とは、まるでそれは異質なもので――そこに吸い込まれたが最後、死ぬしかないような絶望にも似た空気が、そこからは流れてきているような気がした。
「女、今さら怖気づいたか。だが、後悔してももう遅い……ここまで来た以上は、力づくでも俺はおまえを連れていく」
 我知らず、足が震えて動けずにいるあたしのことを、ウルキオラさんは強引に引きよせた。
 そして次の瞬間、ふわりと体が宙に浮かぶような感覚があった。
「怖かったら、目を瞑っていろ。そして俺がいいと言うまで決して開けるな……わかったな?」
「は、はい……」
 あたしはウルキオラさんに言われるがまま、ぎゅっと目を瞑ると、彼の白い破面服にしがみついていた。
 そして、ウルキオラさんはあたしのことを抱き上げたまま、ガルガンタを通っていこうとしていたのだった。



 >>続く……。




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