探偵L~人狼伝説殺人事件~(15)

 変なところで話が止まってて、すみませんww
 自分でも最後のほうまで読み返してみないと、はっきりとはわからないんですけど――それでもまあたぶん、今回のお話を含めて、大体あと5回くらいで終わるんじゃないかなって思います
 前回書いたとおり、今回もまたコネリー警部のロスファイエホテル殺人事件の捜査の続き……といったような形になってるんですよね(^^;)そんでもってたぶん次の次の回がやったら長くて、Lがすべての謎を解明してくれる回となってるので――あともう少しで犯人がわかるっていう感じかな、なんて思います♪
 ただ、今週結構色々予定が入ってるので(汗)、ちょっと更新したりしなかったりっていう感じになるかもしれませんww
 まあ、自分的にはあともう少しで終わるとわかってるので、なんかむしろ安心してのんびり出来るというか、わりと気持ちに余裕のある感じだったりもして(^^;)
 そのかわり、リアルで他に色々やることがあるっていうのがなんなんですけど
 なんにしても、自分的にはこのお話を書いたことで、また新たにLのことが大好きになりました
 Lのお話はわたしが書いてるものの中では明らかに種類の違うものなので(二次とはいえ^^;)、頭の中に構想のあるものを本当に消化するとなると、時間と手間が結構かかるんですよね。なので、次はいつどの話を書くかってはっきりしないんですけど――そのうちもしスイッチ☆が入ったら、書きはじめようかなって思ったりしてます♪(^^)
 今はなんていうか、ブリーチの41巻が発売されたことで、また生傷抉られたぜっていう感じなので……少しの間ブログを停めようかと考えたりしてます
 そういえば、今週号のざんぷ、例によってまた立ち読みしてきましたww
 いえまあ、ハリベル様の死の形が<犠牲>だったので、ある程度のことは覚悟してたつもりではあったんですけど……自分的に、藍染様ってたぶんろくな死に方しないんじゃないかなって思ったり(^^;)
 あれだけ強い彼をどうやって誰が倒すのかっていう問題はあるにしても、例の霊王とかいう人(?)に返り討ちにあって見るも恐ろしい殺され方をするとか、なんかそういうの、勝手に想像してます。べつに藍染なんて悪い奴だからひどい死に方すればいーんだ!!とか思ってるわけじゃなくて――その手前あたりで、山本隊長とサシ☆でやりあって山じいは死ぬんじゃなかろーかとか、なんとなく漠然とそんなストーリー展開を予測してたり……そしてワンダーワイスも結局邪魔な存在として原作者様から消されそうなので(泣)、「ほんと、勘弁してww☆」って感じで胸が痛みます
 いえ、この状況をウルたんが見たらどう思うかと想像すると、彼がハリベル様を守って戦うところとか、かなりマジで想像したくて仕方ないww
 ブリーチ☆について書きはじめると、なんか暗くなるので、Lたんのことに話を戻すと――きのう『しゃべくり007』見てました!!いえ、ライトくんはぶっちゃけどうでもいいとしても(笑)、松ケンさんがでるので見てたんですよ♪(^^)
 べつに松山くんのファンっていうわけではないんですけど、Lを演じてくれたのが松ケンさんで本当によかったって、今もそう思う気持ちにまったく変わりはないので……やっぱりLCWは、松ケンさんとしても、最初のデスノのLのイメージをなくして、また新しく作り直すっていう役作りが大変だったんですね。あ、前にもインタビューか何かで同じことを聞いたような気はするんですけど(^^;)、Lってやっぱり松ケンさんにとって特別な存在なんだな~っていう気がしてなんとなく嬉しくなりました♪
 あと、好きな色が白っていうのも、たぶんLと一緒っぽい感じがしますよね(^^)でも二アもたぶん好きな色は白のような気がするなあ(笑)それでいくとメロは黒??まあ、Lの好きな色って白か青のどっちかかその両方っていう気がするんですけど、混ぜて水色とか空色っていうのもアリ☆なのかもしれないww
 そういえば『カムイ外伝』、友人にちょっと聞いたところによると「松ケンはカッコよかったけど、映画的にはそんなに面白いと思わなかった」とのことだったので、見にいこうかどうしようか少し迷ってますとりあえず11月の中ごろに映画を見にいく約束してる方がいるんですけど、ライトくん主演(笑)のカイジも面白そうですよね。わたし結局人に決めてもらうっていうことが多いので(^^;)、向こうに「こっちのが面白そう!」とか言われたら、たぶんそれを見ることになるような気がしてますww
 この間松ケンさんがナイナイサイズに出てるのも、たまたま途中から見たんですけど――映画の公開時期になると、普段あんまりTVにでない俳優さんがバラエティにでられたりするので、そういうのを見てるとなんとなく嬉しい気持ちになります♪
 それではまた~!!(^^)/



       探偵L~人狼伝説殺人事件~(15)

          第14章

「じゃあ、刑事さんはあたしが盗み聞きしてたっていうんですか」
 マイケルはもっともそうしていた可能性の高い人物の名として、率直にレベッカの名前をまず最初に挙げていた。
「俺は、もし仮に君がそうしていたからといって、そのことについてとやこう文句を言いたいわけじゃないんだ。ただね、君――事はあくまで殺人事件なんだよ。もしミス=ウォード、あなたが本当に探偵のワイミーさんとフェロー警視の話を聞いていたのなら、正直にそう言って欲しい。そうすれば俺は、他の人間に容疑を集中して捜査を続けられるんだから」
「でも警部さんの話だと、盗み聞きしてた人=犯人ってことじゃなかったですか」
 カフェの一番隅のほうの席で、マイケルに奢ってもらったストロベリーソーダフロートを、レベッカはちるるる、とストローで吸っている。
 そしてどこか疑い深そうな眼差しを、真向かいの席に座るマイケルに、彼女は投げて寄こしていた。
「いや、俺が思うに君は例外だよ」と、マイケルは女性の容疑者を相手にする時の、いつものざっくばらんな調子で抜け目なく言った。何故かはわからないが女性というものは、この『君だけは特別』といったような言葉に弱いものなのだ。
「人殺しを行ったその日のうちの朝早くから――あんなに可愛いあくびを出来るわけがないからね。俺、エヴァンズ氏が殺された日の朝、鑑識の人間と中庭のあたりを調べてたんだけど……その時、君がハイビスカスやインパチェンスの鉢にあくびをしながら水やりしてるのを見たんだよ。あれはどう見ても人殺しをした人の顔じゃない」
「見てたんですか」
 レベッカは途端に真っ赤になった。本当はカフェの窓際に飾ってあるそれらの花は、ウェイトレスのメリンダとべリンダが水や肥料をやるべきなのだ。けれども怠慢な彼女たちは、ホールに飾ってある観葉植物同様、レベッカがその仕事もするべきだと決めてかかっているのだった。
「彼女たちにはきっと――」と、マイケルはカウンターの中にいる、ロスファイエホテル名物の美人な双子姉妹のほうを指さして言った。もちろん、囁くような小さな声で。「美しい花を愛するような、真に純粋な気持ちがないんだな。その点、君はまるで違うよ、レベッカ。君は容姿も可愛いし、それだけじゃなくて他の人が持っていないようなものまで持ってる……だから、人殺しなんてするわけがないよ」
「コネリー警部……」
 相手に正直なところを自白させるためとはいえ――少し言い過ぎたかもしれないと思ったマイケルは、照れたようになめらかな前髪をすくい、それを後ろへ撫でつけた。
 そしてこの時に、レベッカの心ははっきりと決まったのだった。
「わかりました、警部さん。あたし、本当のことを洗いざらい全部お話します――もちろん、その他のことについても、あなたがお知りになりたいことなら、聞かれたことにはなんでも答えたいと思います。あたし、あの日……確かにフェロー警視の部屋のドアに耳を押し当ててました。だってあの人――あのおかしな探偵を名のってるワイミーさんですけど、ぼそぼそエネルギーを節約するみたいに話すんですもの。だからよく声を聴きとれなくて、そうせざるを得なかったんです。でもあたし、刑事さんたちの捜査状況が今どうなってるのかなんて、べつにどうでもよくて……そんなことに興味もありませんでした。ただ、あのおかしな探偵のワイミーさんが、フェロー警視になんの用があって来たのか、そのことを物凄く知りたかったの。コネリー警部もご存知かもしれないけど、あの人とっても面白いんですよ」と言って、ここでレベッカはくすくす笑った。
「村の人たちもみんな言ってます。『東洋人っていうのはみんなあんなに甘いものが好きなのか』とか『日本人は全員拳法の達人なのか』とか……この間、ロックウェルさんちの子供たちにせがまれて、スレートを五枚重ねたものを片手で割ったらしいんですけど――あ、ごめんなさい。なんか話が脱線しちゃった」
 レベッカは照れたように笑いながら、とにかく自分はミスター=ワイミーの動向について知りたかっただけなのだと何度も力説していた。
「だって、こんな退屈な村で一番の面白いことって言ったら、人の噂話をすることくらいなんですもの。あのワイミーさんっていう人、そういう意味ではよく村の人たちに面白いネタを提供してくれてるんじゃないかって、本当にそう思いますわ……」
「じゃあ、君としてはきっと、あのままヴォーモン邸でメイドとして働きたかったっていうことなんだろうね」
 今会話にのぼった当のエルバート・ワイミー本人の推理が見事外れたことを思って――マイケルは捜査の舵をこれからどう切ったものだろうと思案していた。
「ええ、もちろん。だけど、あの偏屈なヴォーモンさんに、あんなに綺麗な姪御さんがいるだなんて、初めて知りました。みんな言ってますよ……ロンドンに住んでる妹が結婚した旦那の兄の娘っていうことは、ミセス・ヴォーモンとは血縁関係なんてからきしないんじゃないかってね。まあようするに、親戚は親戚でも血の繋がりはまるでないっていうことですけど」
『それで姪は姪でも、あの偏屈なおばとは似ても似つかないわけだ……あはは』
 といったような、村の婦人連がよく示すのと同じ反応を、レベッカはなんとはなし、マイケルにも期待したのだが――彼はまるでまったく別のことを考えているように、真剣な顔つきをしているのみだった。
(レベッカ・ウォードが、あの日不機嫌だった理由、か)
 無意識のうちに、胸のポケットのメモ用紙に手をやり、マイケルは少しの間考えを巡らせたのち――やはりレベッカに一応、そのことを聞いておくことにしようと思った。
 盗み聞きしていたことを彼女が認めた以上、もはやその必要性はないような気もしていたが。
「ところでレベッカ、君さ」と、アイスコーヒーを一口飲んでから、マイケルは言った。
「三か月前のあの日、もしかして何か怒ってたりした?ワイミーさんがロビーで会った君はどこか不機嫌そうだったって聞いたんだけど」
「ああ、そのことですか……あの時ちょうどフロントのところにジム・ファーガスンの奴がいたもんで、わざと苦虫を噛み潰したような顔をしてました。あの人、一見インテリ風で全然そんな風に見えないけど――物凄いプレイボーイらしいんです。最初は妹のベリンダのほうに気があったみたいなんですけど、やきもちを焼いた姉のメリンダがこっそり妹の名前でメモを渡して呼びだしたらしいんですね。そしたら彼、ちっともそれが姉のほうだとは気づかなかったらしくて――結局どっちとも駄目になったみたいなんですよ。で、あたしある時、彼が『田舎の娘は騙しやすい』って言ってたのを聞いたことがあって、以来あの男のことが大っ嫌いなんです」
「なるほど」
 ジム・ファーガスンは元はダブリンでホテルマンをしていたという、なかなかの伊達男だった。
 これはマイケルの推測なのだが、双子のうちの片割れに手をだせば――もう片方が嫉妬して自分のことを取り合うに違いないと、最初から彼は計算ずくで行動していたのではないだろうか?
 マイケルはその後、レベッカからさんざん村の最新の噂話についてえんえんと聞かされ――いささかげんなりとしつつ、カフェの席を立った。
 そしてホテルを出ると、警察の車輌を借りてダイアナ・ギブソンの川下にある実家へ向かうことにしたのだった。

 村の南部、アヴリル川の支流のほとりに、ダイアナ・ギブソンの家はあった。このあたりに住む人々は、二~三百年前は特に、貧民層として知られており――今でも村のおばあさんなどは、家系的に<血の悪い>者が多いとして、この一帯に住む住人と自分の子供や孫が血縁関係を結ぶのを嫌っているという。
 ちなみに二番目に野獣に喰い殺されたポリー・シェルダンも、元はこの地域に住んでいた娘である。
 ダイアナ・ギブソンの住む家は、小ぢんまりとしていて清潔な印象ではあったが、そこに八人の家族が居住しているとはとても信じられないくらい手狭であった。
 マイケルも部屋のすべてを見せてもらったわけではなかったが――それでも居住スペースとしている部屋が三~四部屋しかないであろうことは疑いようがなかった。
「それで、刑事さん。うちの馬鹿な娘に一体なんの用があるんです?」
 マイケルがギブソン家の前に警察の車輌を止めた時、ポーチでは三人の女たちが大きく張りだした白樺の樹の下でティータイムをとっているところだった。
 ひとりは、羊の毛のような真っ白い髪のおばあさんで――ギブソン家の実質的な家長であった。彼女の夫は五年前に脳梗塞で倒れて以来、家の居間に置かれたベッドで介護を受けている。そしてふたり目が長女のダイアナであり、三人目が先ほどの言葉を発した、彼女の母親のモリー・ギブソンであった。
「いえ、俺はお嬢さんに殺人事件のことで少しばかりお伺いしたいことがあったんですが……」
 マイケルはなんとか、近くの森にでも彼女を連れだして、話を聞こうと懸命であった。
 ところが、どこか高圧的に上から人を見下す態度のダイアナの母が、どうにもそれを許してくれそうにない。
「この子はね、今妊娠中なんですよ――それも誰の子供を身ごもったかもわからないだなんて、聞いて呆れちまいますよ」
 ダイアナの祖母はまるで「わたしは耳が遠くて何も聞こえない」という振りをしているように(実際、マイケルはこのおばあさんが耳が遠いのだろうとこの時思っていた)、ひたすら手許の編み物の目に専心している。
「お母さん!!」
 マイケルのように若くて俳優のような容姿の男に、そんなふうに明け透けな話をされるのは、ダイアナにとってたまらないことのようだった。
 マイケルは黒い髪に黒い瞳の彼女のことを、正直特別美人とは思わなかったが――時々自分に向けられる視線の中に媚態のようなものを感じとって、おそらくこれが彼女の魅力の秘密なのだろうと思ってはいた。
「フン、今さらこの刑事さんの前で体裁を取り繕ってどうなるもんかね?とにかく話があるなら、今ここで、あたしとおばあさんのいる前でしてくださいな。まったくもって本当に恥かしいことだよ――あんたの腹がこれから日増しに大きくなって、人様がなんて言うかを想像しただけでも頭が痛いよ。あの娘は罪の子を宿している……なんて、シンシア・ウェストあたりがいかにも言いそうなこった。そしてその赤ん坊が大きくなって、今ホテルで起きたみたいな殺人事件を犯してごらん。村の連中はこぞって『もともとあの家の人間は血が悪い』だのなんだの、あたしらのことを何を言ってもいい人間として見下すだろうよ」
「でも、生まれてくる子に、本当は罪なんかないよ」
 おばあさんは編み針で精緻なレース模様を織り続けながら、穏やかな優しい声でそう言った。
「モリー、あんたは結婚して十か月に全然足りない月でこの子を産んだけど――あたしがそのことで、あんたにとやこう言ったことが、今まで一度だってあるかい?」
「それとこれとは話がまるで別ですよ、おばあさん」呆れるあまり、これ以上論争にもならないといったふうに、ダイアナの母親は溜息を着いている。「あたしの相手は間違いなくこの子の今の父親だったんですからね。まあなんにしても刑事さん、この子は今外出禁止中の身なんですよ。だから話があるなら、この場所でさっさと済ませちまってください。父親と子供たちが畑にでてる間にね。まったく、親がちょっと目を話した隙に、どこで何をしてるかわかんないような娘なんですから」
「はあ……」
 マイケルはどこかおそるおそるスコーンに手を伸ばし、紅茶を飲んで少しの間(といっても一分ほど)思案した。
 両開きの、木枠をエメラルドグリーンに塗った窓から中を覗いてみると、居間に置かれたベッドで赤ん坊のようにすやすやと眠る、おじいさんの姿が目に入ってくる。
(これじゃあ、プライバシーなんてないも同然だよなあ)
 マイケルはひとり息子で、五歳の時から<自立のため>と称して、自分の部屋をきちんと与えられていた。こんなに小さな狭い家で、弟たちや妹たち三人とひとつ屋根にいっしょくたに放りこまれるだなんて、まったく想像もつかない成育環境だった。
「その……御事情のほうは大体俺のほうでもコリンズ夫妻から伺っておりますので、その点の詳細については省きますが――そうした行為の結果としてダイアナさんは今妊娠しておられるということで、間違いありませんね?」
 ダイアナは、じっと熱心にマイケルの横顔を見つめながら、こくりと静かに頷いている。少しだけ、恥かしそうに頬を染めながら。
「それで、ですね……」
 マイケルはいかにも言いにくそうに話を進めた。せめてミス=ギブソンとふたりきりなら、もう少し単刀直入に肝心なことについて聞けるのにと思いつつ。
「あなたは亡くなったエヴァンズ氏とも関係を持っていた。俺が思うに、今はまだ捜査の初期段階ではありますが――あなたと彼とのことを知った第三者が嫉妬に狂うあまり、彼を殺害したとは考えられませんか?」
「それはありえませんわ」と、ダイアナは清々しいくらいきっぱりとした口調で言った。それまで彼女の顔に浮かんでいた媚態のようなものが消え、ダイアナの眼差しは一瞬にして透き通ったものへと変化している。
「お腹の子が誰の子かわからないだなんて、なんて馬鹿な娘だろうと刑事さんもそうお思いでしょうね。でもあたし、他の意味では決して馬鹿なんかじゃありません――エヴァンズさんはただ単に<金で買える女>が欲しかったにすぎないんです。他の人たち……」と、ダイアナはここで一瞬、言葉を濁らせ、少しの間俯いた。そして彼女の母親がまた、呆れて言葉もないといったふうに、天を仰いでいる。「その、他の男の人もそうでした。ただ、ラシュモアさんだけは……」
「ラシュモアっていうと、208号室のフィリップ・ラシュモアのことですね?」
「ええ」
 静かにゆっくりと頷いて長い睫毛を伏せたダイアナは、まるで聖母のような美しさを内に秘めているかのようだった。
「その、このことであたしがある時泣いていると――どうして泣いているのかって聞いてきたんです。今さらうわべを取り繕っても仕方ないと思ったあたしは、本当のことをすべて話して、ラシュモアさんに相談にのってもらいました。そしたら彼、『そのうちわたしが何もかも解決してあげるよ』ってそう言ってくださって……」
「その<解決>ってのは、一体どういうことなんだろうね」
 母親がさも馬鹿にしたように鼻を鳴らすのを聞いても、ダイアナはもはやまるで動じなかった。まるで天からの啓示を受けた修道女が、周囲の人間がなんと言おうとも、神からの言葉を信じきっているかのように。
 実際のところ、フィリップ・ラシュモアは七年前に細君を亡くしており、三十も年下とはいえ、若い妻を迎えてなんらの問題はなかったといえるだろう。ただ、現段階で誰の子かもまったく予測のつかぬ赤ん坊を引き受ける覚悟が本当にあるのなら、ということではあるが。
「あたし、彼のことを信じています」
 ダイアナの顔がまるで思春期の少女のように――彼女は今、二十一歳ではあったが――薔薇色に輝いているのを見て、マイケルはその横顔をただ純粋に美しいと思った。
 その美しさは愚かさと表裏をなすものではあったけれど、マイケルは内心彼女のことを羨ましいと感じている自分に気づいて、少しばかり驚いていた。
「では、紅茶をごちそうさまでした。また事態に進展があり、お聞きしたいことができたら、お伺いさせていただくこともあるかもしれません」
 マイケルはぎこちないくらい丁重な口調でそう述べると、今日のところは一旦これでホテルへ引き返すことにした。ダイアナ・ギブソンが妊娠しており、そのことが原因でホテルを辞めたことがわかっただけでも――今は大きな収穫と言えたからだ。
「あの方、絶対に犯人なんかじゃありませんよね?」
 マイケルが車の運転席へ乗りこもうとした時、ダイアナが走りながら急いで追いかけてきて、彼のことを縋るような目つきで見上げていた。
「いえ、今の段階では俺の口からはっきりしたことは何も言えません」
 ホテルまでの帰り道――マイケルは何故最後に、ダイアナに向かって「まだなんとも言えませんが、それでもライ
リー氏が犯人である可能性は低いと思いますよ」……あの可哀想な娘にせめてもそう言って慰めてやらなかったのかと、不思議に感じていた。
(おかしなものだな、こんなことにたとえ僅かとはいえ、嫉妬を感じるだなんて)
 そうなのである――マイケルは何故か、淫乱な売女といってなんら差し支えないダイアナ・ギブソンに対して、微かに嫉妬に近い感情を覚えていた。
 それはあわよくば自分も金と引き換えにあの娘と肉体関係を持ちたかったというような嫉妬ではなく――もっと根元的な、人間性に関わる部分においての問題だった。
 マイケルの父親と母親は、彼が十代の時に離婚している。彼の両親はまるで厄介払いとばかりに、マイケルのことを寄宿学校へ放りこむと――彼がそこを卒業する頃にはそれぞれ再婚して別々の家庭を持っていた。
 そしてそのうちのどちらの家でも自分は必要とされていないことを、マイケルは知っていたのである。
 彼の両親はそれでも、贖罪の気持ちからか、マイケルが成人してのちも随分長い間多額のお金を送金してきたものだった。
 やがて彼が精神的にも肉体的にも、本当の意味で<大人>となり、警察学校を卒業した時に――マイケルは父親と母親に対して、もうお金を送らなくてもいいと手紙に書いたのであった。
 もちろん、七人もの家族の中で、やたら噂好きな口うるさい人間に囲まれて育ちたかったとは、マイケルもまった
く思わない。
 なんにせよ、あれだけの状況にありながらも、ダイアナには家族の中にまだ、<居場所>のようなものがあるのだ。マイケルはそのことに対して、何故だかとても羨ましいものを感じていた。
 彼女の母親は口やかましいが、それでもそれは自分の娘を根底では愛しているからこそなのであり、何よりダイアナと祖母との関係――そのことがマイケルは羨ましかった。
 ふたりは自分の母、また長兄の嫁が怒っている間も、ちらと目配せしあって、互いをわかりあっている者だけが見せるある種の絆――血の絆のようなものを、マイケルの前で見せていた。そしてそのことがギブソン家がぎりぎりのところでうまくいっている秘訣なのだろうと、マイケルはそんなふうに見てとったのである。
(正しき者は罪人に嫉妬する、か)
 マイケルはそう思って、どこか自嘲的に笑った。
 ギブソン家の祖母は、「生まれてくる赤ん坊に罪はないのだから」と言っていたが――彼女たちが<堕胎>ということをまるで考慮に入れてないらしいのには、マイケルもいささか驚いていたといっていい。
 そして、彼は思いだす……自分の父親と母親が離婚して別々の家庭を持った時、そのどちらの家庭にも自分の<居場所>はないのだと知った時――(何故この人たちは自分のことを作って生もうなどと思ったのだろう)と感じたことを。
 マイケルは、自分には罪はないはずなのに、何故こんなにも苦しまなければならないのか、まるで理解できなかった。正直、彼らの家庭をふたつとも壊してやるために――そのうちの誰かを殺してやろうかと想像したことさえある。
 マイケルが<警官>という職業を選んだことには、そういう意味でふたつの理由があったのかもしれない。
 ひとつ目は、人を殺してもなんとも思わないかもしれないことに対する自分への怖れと、ふたつ目は――罪なき者として、さらなる<正しさ>を求めようとしたということである。
 ダイアナ・ギブソンの母親は、おそらく世間から後ろ指を差されぬようにと、これまで随分神経症的に気を配ってきた人間なのだろう。ところが、自分に罪や非がないにも関わらず、娘が父親のわからぬ子を産もうとしていることで――彼女の長年に渡るこれまでの苦労は水泡に帰そうとしている。
 マイケルは何より、彼女がそのことに対して腹を立てているのではないかと、そんな気がしてならなかった。
 反して、ギブソン家の祖母は年の功ということもあるのだろうが、そんなことはすっかり超越したところで孫娘のことをすっかり許してしまっているのだ。
「昔はね、水銀を飲めば赤ちゃんが流れるっていう迷信があって――実際に水銀を飲んで死んじまった娘がいたもんだよ」
 立ち去り際、あの羊のように柔和な顔のおばあさんがそう言うのを、マイケルは耳にしていた。ようするに、赤ん坊のことを苦にしてダイアナが自殺なんぞしなかっただけでも、まだよかったと思わないかね?――そう彼女は言外に言って、孫娘のことを庇ってやっていたのである。

 マイケルは、捜査上の業務報告をフェロー警視にすませると、すぐ隣の自分の部屋へ戻ることにした。
 三か月前に盗み聞きをしていた犯人がレベッカ・ウォードであったことを、名探偵のエルバート・ワイミー殿へ報告する前に、彼としては今一度自分の頭の中をよく整理しておく必要があったのである。
 その中には、つい先ほどフェロー警視以下、他の刑事たちや鑑識の人間から得た、新しい情報も当然含まれている。

 ①ジョーンズ夫妻は、ロンドンの自宅へ戻っているが、スコットランドヤードの刑事が彼らのケンジントンにある屋敷を張りこんでいるということ。

 ②メリッサ・ワインバーグが元夫のダン・エヴァンズと別れたのは、彼の女癖の悪さが病的だったかららしい。
(「あなたたち、警察の方にはきっと、憎みあって別れた亭主がすぐ隣の部屋にいるだなんて、想像するのも難しいでしょうね――でもあたし、自分が今の主人に愛されていてどんなに幸せか、彼に見せつけてやりたかったんです。その洗練された、実際には針一本使わぬ復讐法によって、ダンのことを苦しめてやりたかったんですわ」というのが、おもなワインバーグ夫人の主張である)

 ③エヴァンズ氏の部屋からは、多数の指紋が検出されたが、それらはメイドのレベッカやダイアナ、また彼と親しかった賞金稼ぎのエドウィン、ライリー、ジョーンズ夫妻……と、彼の部屋を訪れていてなんらおかしくない人のものばかりであった。掃除はエヴァンズ氏本人の要請により、大体週に二度ほど行っていたが、それ以外ではバスタオルなどのリネン類を交換するのに、氏の留守中に部屋へ入ることがある程度だったという(これはホテルの業務日報からも確認することが出来る)。

 ④ホテル中のすべての部屋を、宿泊客の許可を得て調べた結果――どの部屋からもルミノール反応は検出されなかった。犯行を行ったのがホテルの宿泊客及び関係者であったとすれば、自分の部屋のバスルームで血を洗い流した可能性が高いが、残念ながらひとり残らずこの捜査に協力してくれたことにより、そこから犯人を割りだせる可能性は限りなくゼロに近いのが現状である。

 ⑤例の盗み聞きの一件もあり、捜査の内部情報を強化するという観点から、本部をネルヴィル町の警察署に置くこととする。去年起きた野犬騒ぎの捜査は、ロスファイエ村に駐在している巡査が村長のジャック・マーフィの息子であることから――ヴォーモン夫人の善意もあり、ホテル内の部屋を仮の捜査本部としていたが、今後この場所で捜査に関する話をする場合は、よくよく周囲に注意を払うものとする。

 ……などなど。
 マイケル自身も、ルミノール反応が出れば、ほぼその部屋に住む人間がビンゴだろうと思っていただけに――その点についてはかなりのところがっかりしたと言わざるをえない。
(まあ、なんにしても俺は……)と、マイケルはホテルのメモ帳を手にとると、愛用の万年筆でそこに容疑者の名前を順に挙げていくことにした。

 ①ジョーンズ夫妻への容疑は、シロともクロともいえず、今のところ灰色である。

 ②フィリップ・ラシュモアの六月十三日の夕方から夜にかけてのアリバイは、カフェでエスプレッソを飲んだあと、海岸付近を散歩していた、というものだった。

 ③賞金稼ぎのパトリック・エドウィンは、どうやら本当にバスルームで足を滑らせたことにより、腕を骨折したものと思われる(鑑識の人間によって、彼の供述には科学的に一切矛盾がないことが証明されるに至った)。

 ④コリンズ夫妻のカードゲームのいかさまについては、証拠の品として、彼らの黒い革表紙の帳簿を押収。だがこの件が起訴されるか、起訴猶予となるのかは、今のところ不透明である。それよりも、彼らの証言でより重要だったのは、三週間前までホテルに勤めていたメイドのダイアナ・ギブソンのことである。

 ⑤レベッカ・ウォード自身の口から、彼女が三か月前にフェロー警視とワイミー氏の話を盗み聞きしていたことが判明。なお、彼女がその日不機嫌そうに見えたのは――俺自身には彼女は大抵、仕事中はいつでも不機嫌そうに見えたものだが――フロントのところに彼女の嫌いなジム・ファーガソンがいたそのせいである(彼は双子の美人姉妹を両天秤にかけている、女の敵のような男らしい)。

 ⑥ダイアナ・ギブソンの売春行為及び妊娠については、現在のところ、彼女がホテルに勤務中、何人の男と何回に渡って関係を持ったのかは不明である。だが明日にでも女性の捜査員に彼女の自宅へ行ってもらい、確認してもらう予定になっている……。

 マイケルは、器用に指の上で万年筆をくるくる回すと、軽く溜息を着いた。
 ホテルの宿泊客全員の金庫の中もすべて調べたが、例の贋の金塊のサンプルらしきものはおろか、特に不審に思われるものすら何ひとつ出てくることはなかった。
 そして、レベッカ・ウォードが盗み聞きの張本人であった以上――この時点でもうひとつ、別の有力な<仮定>に沿って捜査を進めていく必要があったといえる。
(死んだエヴァンズは、コリンズ夫妻をカードゲームのことで恐喝していた……これと同じように、贋の金塊のサンプルを持ってきた人間を強請ろうとしていたのだとしたら?もちろん、彼はスイートルームに当たり前のように宿泊しているような資産家だから、無論目的は金なんかじゃない。とすれば、おそらく女だろう。別れた妻のメリッサ・ワインバーグも言っている。彼は「セックス病患者といってもいいくらい、女に手をだすのが早かった」と……だとしたら、おそらく犯人は彼(あるいは彼女)のことを、こう言って脅したのではないか?犯人が女であったとすれば、彼女自身の肉体を、また男であった場合は――女を用意しろと迫ったのではないだろうか?……)
 マイケルはこのあと、束の間の眠りの中へ落ちていったが、彼はその思案の過程で、探偵のエルバート・ワイミーの指示は確かに正しかったのかもしれないと思った。
 あの変てこな男にはおそらく、捜査の道筋のようなものがはっきり見えているに違いない。正規の常識的な捜査手法全般については、フェロー警視や他の刑事、鑑識の人間などに任せておいて――マイケルには本当に、必要最低限の指示だけをしていることが、彼には今よくわかっていた。
 そしてレベッカ・ウォードが本当は盗み聞きの犯人かもしれない可能性も、当然ワイミー氏の中では計算に入っており、おそらく彼はそうした中で自分が特に知りたいと思っていることに重点をおいて、あのメモ用紙を自分に渡したに違いなかった。
 そう、つまり凡人といったものは、<一応確認をとった上で>なければ、決してその先に話を進めたがらないものだから、彼はおそらく大体のところ予測のついている事柄について『再確認』の作業を捜査機関の人間がし終えるのを待っているのだ。そしてそのあとで、「思ったとおりでした」と前置きをし、次の究極の一手――真犯人の喉元に手を下す、もはや逃げ場のないチェックメイトという名の一手を繰りだすつもりなのだろう。
 マイケルはそう思い至ると、自分がよくある推理小説の端役の警部のように思えて仕方がなかった。と、同時に最後にどのような形でエルバート・ワイミーという名の名探偵がこの一連の事件を解決するのか――その手腕を披露してもらえる瞬間を、心待ちにしてもいたのである。



 >>続く……。




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