探偵L~人狼伝説殺人事件~(19)

 じんろー☆の連載が終わったら、少しブログを休止しようかな~なんて思ってたんですけど……そんなこと言いつつまたぼやぼや☆更新したりするのだらう――とか思ってたら!!!
 なんかちょっとブログのトップページにエラーが出るんですよね
 そんなわけで、近いうちにブログを引っ越しする予定でいます。とりあえず、データのバックアップを取らない限り、このブログはウェブ上に表示されたままになるとは思うんですけど、次回のじんろー☆の最終章を来週あたりアップしたら、それ以後記事の更新は一切しないつもりでいます
 引っ越し先については現在検討中なので、なんとも言えないんですけど――もしかしたら、『赤毛のアン』とかモンゴメリの作品について語るのがメインのブログとか、はじめるかもしれませんwwいえ、Lたんやウルたん&織姫についても色々書いていきたいので、結局またごっちゃ☆になるんだろうなとは思ってるんですけど(^^;)
 なんにしても、今回の前文は『Lたん、ウルたんと居酒屋へ行く』の巻です(笑)
(ちなみに、※ウルたんのキャラ崩壊要注意!!かもしれませんww)


   ~Lたん、ウルたんと一緒に居酒屋へ行くの巻☆~

 Lたん:「ウルキオラさん、元気だしてください……わたしだってデスノートの⑦巻であんなことになってるんですから、言うなれば同じ穴の狢ですよ。なんだったら景気づけに飲みにでもいきましょうか?」

 ウルたん:「そうだな。ところで貴公、酒は飲めるのか?」

 Lたん:「ええ……わたしはどうも、まったく酒が飲めないかうわばみかのどちらかで語られることが多いようなので――今回はうわばみで行くことにしましょう。わたしの行きつけのお店に「りうざき」という暖簾のかかった店があります。ワタリがマスターで、あなたの好きなものをなんでも出してくれると思いますから、とりあえずそこへ行きましょうか」

 ウルたん:「では、そうするか」


   ~居酒屋『りうざき』店内~

 ワタリ:「ウルキオラさん、それにL……お待ち申し上げておりました。今日はカウンターをふたりで貸切にして、思う存分ジャ○プに対する不満でもなんでも、ぶちまけられると良いかと思います」

 ウルたん:「フッ。ジャ○プなど、所詮は罪なき少年雑誌に過ぎん……俺が悔しかったのは、女と手を繋げなかったことだ。くそっ、本当にあともう少しだったのに……」

 Lたん:「ウルキオラさん、結構日本酒がいける口だったんですね。もうほんのり顔がピンク色に染まってますよ?」

 ウルたん:「うう……女と手を繋ぎたかった、ぱふぱふ☆もしたかった。それにあんなことやこんなことやそんなことも……」

 Lたん:「そうですねえ。でも、結局織姫さんはブリーチ☆のヒロインですから、その彼女にウルキオラさんがちょっかいをだしすぎたので、ああいう報いを受けることになったのでは、と見る読者さんもいらっしゃるようですが……」

 ウルたん:「なんだと!!俺が一体女に何をした!?ビンタ☆されこそすれ、指一本触れたことさえなかったっていうのに……こんなことなら、ピー☆してピピー☆して、ピピピー☆でもしとけば良かった!!くそっ!!」

 (ウルたん、ここで一升瓶を過激に一気飲み☆)

 Lたん:「あ~、ウルキオラさん、もうすっかり出来上がってますね。せっかくスペシャルゲスト☆をお呼びしてたんですが、大丈夫ですか?くれぐれもセクハラだけは注意して欲しいんですが」

 (ここで、ガラガラッ☆とお店のドアが開く)

 織姫たん:「ウルキオラさん、撮影シーンの終了、本当にお疲れ様でした!!これ、お祝いの花束です♪」

 ウルたん:「アイリスか。アイリスの花言葉は……『わたしはあなたを愛しています』だったな。女、おまえは俺のことを……本当は一体どう思って……(ガクリ☆)

 Lたん:「ウルキオラさん、存外酒癖が悪い……もとい、お酒に弱い方だったんですね。顔がもう真っ赤です」

 織姫たん:「わたしもこんなウルキオラさん見るの、はじめてかも。いつもスタッフさんやみんなが打ち上げにいっても、ウルキオラさんってひとりでふいっと帰っちゃうんですよ。他のみんなは役作りのためだろうとか言ってたんですけど……」

 ワタリ:「まあ、なんにしても、そちらの座敷のほうで少し休ませてあげてはどうですか?そうすれば次期酔いも醒めるでしょうし。L、このように素敵なお嬢さんを退屈させるのもどうかと思いますので、ここはひとつ、Lの十八番を披露されてはいかがかと……」

 (ワタリ、カラオケ☆の電源を入れて、マイクをLたんに渡す)

 Lたん:「そうか。あの曲をわたしに歌えというのか、ワタリ……」

 織姫たん:「あ、わたし一応未青年なので、オレンジジュースか何かでお願いしまーす!!^^」

 ワタリ:「かしこまりました」

 Lたん:「そーこーにゆーけばー、どーんなー夢もー、かーなうと、いうよ~♪」

 織姫たん:「Lさんのカラオケの十八番はゴダイゴの『ガンダーラ』なんですね(^^)とても素敵な選曲だと思います」



 ウルたん:「(ムクリ☆と突然起き上がって)がんだーら、がんだーら、They say it was in India~♪……マスター、俺にもマイクを寄こせ。こうなったら俺も歌ってやる!!」

 織姫たん:「わあ~。ウルキオラさんって実は存外とてもノリのいい方だったんですね(^^)」

 ウルたん:「でなければ、一体誰がキャラソンなぞ歌うというんだ?マスター、『Crush the World down』か『Our World』をかけてくれ」

 ワタリ:「申し訳ありません、ウルキオラさん。どうもカラオケのほうにはその曲、入っていないようでして……」

 ウルたん:「なん、だと……!?俺のキャラソン☆がカラオケに入っていない、だと!?……馬鹿なっ!!」

 織姫たん:「あ、元気だしてください、ウルキオラさん。なんか今日のウルキオラさん、とても素敵です♪いつもはクールなだけだけど、これからもそんなふうに時々、本音を見せてくれると嬉しいかな~なんて(^^)」

 ウルたん:「そうか。その言葉は、俺とこれからホテルに行く覚悟があるということだな?よし、マスター、お勘定!!」

 織姫たん:「え、ちが……ウルキオラさん!?」

 Lたん:「あ、ここの勘定はわたしが持ちますから、どうぞ気にせずラブホテル☆にでもどこでも行ってくださって結構ですよ?」

 ウルたん:「そうか。L、この機会を設けてくれた貴公に、心から感謝する!!」

 織姫たん:「ええっ!?ウルキオラさん、絶対酔ってますよね!?ちょっと待っ……!!(//_//)」

 (織姫ちゃんはウルたんの脇に抱えられて、あ~れ~☆と言う間もなく、原作同様(?)拉致られてしまいました!!笑)

 ワタリ:「L、本当にこれで良かったんですか?」

 Lたん:「まあ、いいじゃないですか。いくら酔ってても、無理矢理ピー☆とかピピー☆とかピピピー☆なんて、ウルキオラさんもしないでしょうから」

 ワタリ:「………(コホン、と咳払い☆)」


 (さてさて、ラブホ☆に拉致られた織姫ちゃんの運命やいかに!?待て次号!!!)


  おしまい☆


 ――待て次号!!っていうのはもちろん嘘です(笑)この話に続きはありませんww
 でも「おお、これが噂のラブホテルか」とか言って、色々部屋の中を調べたりするウルたんは可愛いかもしれません♪(笑)
 それではまた~!!(^^)/



       探偵L~人狼伝説殺人事件~(19)

          第18章

 こうして金塊騒ぎを含めた、一連の事件は探偵エルバート・ワイミーの手によって解決されたわけだが、最後にロスファイエ・ホテルで起きた殺人事件についても、当然言及しておかなくてはなるまい。
 L自身はこの事件を、とても単純なものとして考えていた。それでマイケル・コネリー警部に必要最低限のヒントのメモ用紙だけを与え――あとは彼とフェロー警視から上がってくる捜査情報を聞くのを待てばいと、そんなふうに思っていたのである。
 先に答えを言ってしまったとすれば、ダン・エヴァンズ殺しの犯人は、ロスファイエ・ホテルの総支配人であるアーサー・グレイヴスであった。彼は総支配人という立場を利用して、あろうことかホテルの各部屋の電源プラグに盗聴器を仕掛け――そこから自称、トレジャーハンターを名のる男たちが今どこまで金を見つける作業を進めているのかを、逐一探っていたのである。
 ちなみに、贋の金をちらつかせて金塊の採掘資金を騙しとろうとしていたのは、ホテルマンのジム・ファーガスンで、グレイヴスとファーガスンは、互いに共謀して事を押し進めていたのであった。ところが、いつまで経っても当の金塊の在処が掴めず――痺れを切らしたファーガスンは、小粒の金をちらつかせ、資産家を相手に大金を騙しとろうとしていたのであった。
 エヴァンズはある時、フロアランプの電球の接触が悪いことに気づき、プラグから一度電気コードを抜くと、部屋の隅へ移動させようとしたことがあったのだが――もちろん、フロントに連絡すればすぐ、電球くらい取り替えてくれたに違いないが――その時にふと、盗聴の可能性に気づいてしまったのである。
 そして翌日の朝に盗聴電波を調べるための計測器を町のホームセンターで早速購入したというわけだ。しかして、答えはまさにビンゴであった。
 自分のようなスイートルームに宿泊する最上の客の部屋にこのような装置が仕掛けられているということは、他の一階や二階の客室にも間違いなく同じものがあるに違いない……そう確信したエヴァンズは、総支配人のことを部屋へ呼びだすと、どうにもけしからん従業員がいるようだと言って、グレイヴスのことを激しく責めはじめた。
 この時、エヴァンズはホテルマンのファーガスンが小粒の金を持ってきて金塊を採掘するための費用を出資してくれないかと自分に持ちかけてきたことなども話したので――グレイヴスは自分の共謀者が抜けがけしようとしていることを、初めて知ることにもなったというわけである。
 グレイヴスにとってこの時、道はふたつあった――ひとつは、相棒のジム・ファーガスンにすべての罪を引っ被せて彼を殺すこと、もうひとつは目の前のダン・エヴァンズ氏を殺害するということである。
 そしてグレイヴスが果たしてどちらがより自分にとって安全で得策なのかと考えていた時、ライアン・フェロー警視の部屋から、エルバート・ワイミーという探偵と話す彼の声が聞こえてきたのだった。
『九年前……惨殺された女……犯人は捕まらず、結局事件は迷宮入り……』
 レコードの針が、まるで何度も同じところを繰り返しまわっているかのしように――彼の頭はすぐにそれらのフレーズでいっぱいになってしまった。
 殺害決行の夜、グレイヴスは「お礼のサービス」としてドン・ペリニョンを一本抜き、エヴァンズがほろ酔い加減になったところを狙い、果物ナイフで彼の喉元をすかさず一突きにした。あとは血が飛び散らないよう、あらかじめ決めておいた残り十九箇所を適当に突き刺し――最後に心臓の上に、何かの象徴ででもあるかのように、ナイフを突き立てておいたのである。
 エヴァンズはバスローブの下は全裸であったため、グレイヴスはいかにも痴情のもつれといった感じを演出するために、前のほうをわざとはだけさせておいた。
「やれやれ、まったくいい格好だな、旦那」
 グレイヴスは血に染まった手袋とホテルの制服を、エヴァンズの部屋のバスルームで袋詰めにし、ワゴンの下に隠してから、何ごともなかったような品行方正な顔をして彼の部屋を出た。
(このど田舎ホテルのいいところは、なんといってもろくに監視カメラもついてないところだぜ)
 そんなことを思いながら、ホテルの夜勤についていたファーガスンとフロントで目配せし合うと、グレイヴスは袋詰めにした衣服を始末するために外へ出ていったというわけである。
 ワゴンのほうは一応念のため、消毒スプレーを吹きつけて綺麗にしておくよう、ファーガスンに命じておく。
 血に汚れた衣類を埋めるのにちょうどいい場所なら、すでに見つけてあった……というより、去年一年の間に村中の土地があちこち掘り返されたお陰で、ちょうどいい埋め立て場所ならいくらでもあったのである。
 それでもグレイヴスは生来の用心深さから、ホテルからはかなり離れた場所を選び、さらには相当地中深く掘ったあとで、そこに証拠の品を埋めたのだった。もっと一番よいのは、血のついた手袋や衣服を焼却処分することだったのではないかと後にグレイヴスは思い至るが――殺人者の心理というものはかようにして、どこかに必ず手落ちを生じさせてしまうものなのである。
 その翌日からグレイヴスは、フェロー警視とコネリー警部の部屋から時折聞こえる捜査の進捗状況を特に注意深く聞くようになり――彼らが今のところまるで自分を疑っていないらしいことがわかるなり、内心しめしめと思っていたものだった。
 ところが、キンドレイ博士とその助手のシモンズが、とうとう金の在処を発見したとこっそり喜び祝っているのを知ったグレイヴスは、彼らが<他の誰にも知られぬよう>小声で話しているある情報をこの時キャッチする。
 すっかり油断しきっていたグレイヴスは、ファーガスンと一緒に夜半、人が寝静まった頃を見計らって、博士たちよりも先に金塊を掘り返してやろうと意気込んで出かけていき――というのも、ボンクラな博士とその助手は、本格的に採掘しはじめるのは明日からにしようなどと、寝ぼけたことを言っていたために――それが罠であるとも知らず、突然大型の照明器具を四方八方から浴びせられた揚げ句、あえなく逮捕されたというわけである。
「でも俺はこの解決、なんだか納得出来ないなあ」と、コネリー警部は事件解決後、Lに対して不満げにそう言っていた。
「第一、最初から盗聴の可能性に気づいていたのだったら、俺に渡したあのメモ用紙は一体なんのためのものだったんですか?」
「あれはあれで、わたしにとって必要な捜査の一過程だったんですよ。盗聴=エヴァンズ殺しの犯人と決めつけるわけにはいきませんでしたから……それに、ホテル内の人間関係などについても、よく把握しておく必要がありましたし」
 一方、どこか不満顔のマイケルとは対照的に、フェロー警視は喜色満面だった。
 ロスファイエ・ホテルでの殺人事件をきっかけに、去年起きた三件の不可思議な野犬騒ぎの事件のことも引き合いに出され――警察は一体何をしているのかというマスコミの批判が集中していた折も折、エヴァンズを殺したホテルの総支配人とその共謀者とを、見事逮捕することが出来ていたからである。
「いやあ、今回のことでは本当にお世話になりましたな、ワイミーさん」
 ジェフリー・アイズナーとアデル・クライン・ヴォーモンを逮捕した翌日、警視はクレマチス邸のテラスで、Lに対してあらためてそう礼を述べていた。
「エヴァンズ殺しの件では、キンドレイ博士と助手のシモンズに協力してもらって、一芝居打ったわけですが――まさ
かわたし自身、自分の部屋に盗聴器が仕掛けられているなどとは、まったく思いもしていませんでしたよ」
「わたしはホテルに宿泊する時、監視カメラと盗聴器の仕掛けられている可能性については、真っ先に疑うことにしているんです……最初に警視の部屋をお伺いした時には、そこにあなたが一年以上滞在されていると聞いていたので――てっきり完全に調べてあって、安全なものとばかり思っていたんです。そして二階のシーツなどが置かれたスタッフルームからも強い盗聴電波を観測したので、犯人はそこで交わされる客室係やメイドの会話をも盗聴しているのだろうと思いました。となると、我々の話を盗み聞いていたというレベッカ・ウォードのことはほぼ容疑から外していいだろうとその時に思ったんですよ」
「しかしながら、アイズナー博士が犯人だったとは、わたしにとってはいささか驚きでしたな」
 警視は、ヴォーモン夫人の姪が持ってきた手作りのアプリコットケーキを食べながら、屋敷の壁全体を覆う蔦が美しく紅葉しているのを眺め――そして、どこか感慨深いような深い溜息を洩らしている。
「博士は捜査の初期段階から、実に我々の捜査に対して協力的だったんですよ。ですが今にして思うと、そうやって警察の動向を探っていたのかもしれませんな」
「そうかもしれませんね……ですが、確かに博士はその道の専門家として、一度も嘘をついたりされたことはありませんでしたよ。自分とって都合の悪いであろうことについても、むしろ自ら積極的に語ってくれていましたし……たとえば、ヴォーモン氏やポリー嬢を襲った獣はどういった種類の動物だと思うかとわたしが聞くと『アフリカのサバンナにいるライオンやヒョウが、船に乗って遠く旅をしてきたのでなければ』と前置きしたあとで、彼はこう言っていました。『おそらくは犬と狼をかけ合わせた獣ではないか』とね。それと犬と狼をかけ合わせると、元の親となった個体よりも体が大きくなり、性格も獰猛で扱いにくい場合があるとも……そこでわたしが小さな頃に読んだ、『シートン動物記』にでてくる話を引用すると、博士はまるで少年のように瞳を輝かせていたものでした。犬っていうのはどんなにお腹がすいていたとしても、人間のことを<食糧>と見なすことはありませんが――犬の中で狼の血が混ざっているものは少し違う行動をとる場合があるのだそうです。そうした犬と狼の雑種の子孫の中には、突然狼側の血が強く目覚めることがあるのかどうか、何かの拍子に人間に襲いかかることがあるんだそうですよ。もっとも、そういう事例が数多く報告されているわけではないので、実際のところはどうなのか、よくわかってはいないんですけどね。動物学者によっては、狂犬病にかかっているような特殊な場合以外――狼が人間のことを<食糧>として襲うことはないと断言している研究者もいるようですし」
「まあ、我々人間も含めて、動物の行動といったものは極めてわからない謎の部分が多いということですな」
 警視は我ながらうまいことを言ったというように、どこか誇らしげに口髭をひねりながら笑っている。
「わたしも動物のドキュメンタリー番組を見るのが好きなタチなんですが、ああいう特集を一時間か二時間ばかし見て、対象の動物の行動をすっかり理解したような気になるっていうのは、危険極まりないことなのかもしれませんな。第一、今回の件で言えば――鈴の音によってパブロフの犬的に調教された犬が人間を喰い殺していただなんて……この目で実際に見たのでなければ、到底信じられないことですからね」
「今回の件に関していえば」と、Lは剪定鋏で庭木の手入れをしているヴォーモン夫人の後ろ姿を見つめて言った。彼女は警視とLとの間で交わされる話を聞きたくて仕方ないので――そのような形で、テラスから少し離れた場所に立ち、あくまでもさりげなくチョキチョキ庭木をいじっていたのである。
「他の人間が同じ方法で誰かを殺して捕まらずにいるということは、ほぼ99.9%不可能だったといえるでしょうね。それが不幸中の幸いのような気がしなくもありません……あれはあくまでもアイズナー博士が動物に対して特殊な能力を持っている人であればこそ出来た殺害方法なんです。じゃなかったら、少し気性の荒い犬を調教して、完全犯罪を成し遂げようとする模倣犯が出現したかもわかりませんから」
「かもしれませんなあ」まったく人間ってやつはと思いつつ、警視は笑って言った。「ですがワイミーさん。実際のところ、いつから博士のことを疑っていたんです?こう言ってはなんですが、この村にはヴォーモン氏のことを嫌っている人間はごまんといたでしょう?わたしなど、そのうちの誰が氏を殺していても不思議はないとさえ思っておったんですがね」
「ほとんど最初に会った時から、ですよ」
 Lはレモンケーキにフォークを入れ、ムシャムシャとそれを美味しそうに貪り食べている。
「いえ、本当は最初は、博士の飼っている狼のうちの一匹が――この場合は博士がどこかに隠しているだろうもう一匹の別の獣、ということですが――ヴォーモン氏やルパート・オコノフィを殺したとするのは、あまりに話として出来すぎのような気がしていました。むしろ、エドガー・ヴォーモンに対して強い怨みのある誰かが、五年前に博士がこの村へ越して来た時にその計画を思いついた、とするほうが自然な気がしたんですよ。事件後、村の中で真っ先に疑いの目を向けられるのは、当然博士に対してでしょうし……ですが、アイズナー博士の飼われているオオカミと引き合わせてもらった時に――わたしは間違いなく彼が犯人に違いないと確信していました。博士の飼っているオオカミたちはよく訓練されているので、オオカミたちの間にある法則……まあ、ある種の<掟>のようなものですね。それをこちらが故意に破らない限り、襲われるようなことは決してありません。わたしは博士に指示されたとおり、オオカミたちのディスプレイにつきあっていたんですが――地面に引き倒されたり、喉笛に噛みつくような振りをする彼らの行動につきあっていた時、ふとアイズナー博士と目が合ったんです。それははっきりとした<威嚇>の眼差しでした。『もし自分が今、ちょっと指示をだせば、おまえのことなどあっさり殺せるんだぞ』というね。でもそれは本当にほんの一瞬のことだったので――まあ、本能的な直感によっては、博士が犯人だろうと確信しつつも、他の可能性についても順番に消去法で消していく必要があったというわけなんです」
「なるほど。しかしながら流石ですな、ワイミーさん」と、文字どおり手を大きく広げながら、手放しで警視はLの探偵としての手並みを賞賛した。
「わたしは実は昔から犬が苦手なタチでして――博士にオオカミとスキンシップしてみませんかと言われた時も、丁重にお断りしておいたんですよ。で、かわりにマイケルのことをオオカミの群れの中に放りこんで、その様子を観察していたんですが、フェンスの外側から見ている限りにおいては、オオカミというのはまったく愛らしい生き物だと思いましたよ。第一、オオカミが<笑う>だなんてこと、わたしは博士に教えてもらわなければ、一生知らないままだったでしょうしね」
「オオカミは人間と同じく、豊かな社交性を備えていて、互いのボディランゲージを敏感に感じとる生き物なんですよ。だからとてもリラックスして、こちらが心を開いてさえいれば――向こうも心を開いて笑ってくれるんです。人間にしてみてもそうでしょう?『なんかこいつ、うさんくさくて感じが悪いな』と思ったら、自分では隠しているつもりでも、目や顔の表情や、あるいはちょっとした態度や言葉尻なんかに、ついそれを表すものがでてしまう……オオカミとのつきあいで何より気持ちがいいのは、その点かもしれませんね。彼らにはなんとっても<嘘>がありませんから。まあ、返して言えば、誰かを殺していながら用意周到に嘘を並べ立てられるくらい社交性が発達しているのは、動物の中では人間だけということなんでしょうけどね」
 エヴァンズを殺したグレイヴスは、その罪をファーガスンになすりつけようとし、またファーガスンは詐欺を働いていたことを一貫して今も否認し続けていることを思いだし、ライアンは我知らず、深い溜息を洩らしてしまった。
「まったく人間ってやつは、もしかしたらその本性は犬畜生などより、本当はずっと劣っているのかもしれませんな」
 そのあと博士は、アイズナー博士の飼っていたオオカミたちは、博士の知りあいの動物学者が引きとることになったと話し、またダイアナ・ギブソンはどうやら近く本当にフィリップ・ラシュモアと結婚するようだといった、村の世間話をして帰っていった。
「まったく、世の中には奇特な男もいたもんですよ」などと、何度も首をひねりつつ。
 ――結局のところ、グレイヴスとファーガスンの悪党ふたりが捕まったことにより『金塊など、この村のどこにも本当は埋まっていないのだ』とホテルに宿泊していたトレジャーハンターのほとんどが諦めの境地に達していたといっていい。
 しかしながら、その一方で本当の意味での<金塊>をこの村で発見した者がいたのも本当のことである。
 キンドレイ博士とその助手のシモンズは、マーフィ村長から特別の許可を得ると、初めて<聖狼の滝>にある洞窟内へ、足を踏み入れることが許されたのだ。
 村長は、村の住民たちとよくよく話しあった上で――『呪われた村、ロスファイエ』のイメージを払拭するためには、これしか方法はないだろうと決断するに至ったのである。
 おそらくこの場所は世紀の大発見としていずれは世界遺産に登録されるであろうし、そうなれば、観光客が次から次へと詰めかけるということにもなるだろう……その時に備えて、今から村全体で一致協力しあい、様々な<村おこし>の事業を展開する準備をしておこうと――村の人たちはみな、とてもやる気になっていた。
「わたしがこんな気持ちになれたのも、すべてはワイミーさん、あなたのお陰ですよ」
 マーフィ村長は、誰にも何も言わず、明日この村を去ろうとしているLの元へ偶然やってくると、彼の手をがっしり握りしめてそう言った。
 そしてもしよかったら、<村おこし事業>を監督するアドバイザー役に就任してくれないかと、村長があまりに熱心に頼むので――Lは丁重に彼の申し入れを再三断りながら、最後に一枚の紙を、いつもの奇妙な手つきでマーフィ村長に渡したのだった。
「これは一体なんですか?」
 訝しげに、村とその周辺の地形が描かれたA4くらいの紙を、ジャック・マーフィは何度も繰り返し眺めている。
「言うなればまあ、宝の地図といったところですよ」と、Lはどこか素っ気なく言った。「それを水に浸すと、地下に金の眠っている場所がしるしとして浮かび上がるようになっています。といっても残念ながら、100%絶対とはいえないんですが……それでも、詳しいボーリング調査などをすれば、おそらくその場所に黄金が眠っているのがわかるはずですよ。まあ、もしよろしければ村の観光事業の一環としてでもお役立てください」
「ワイミーさん、あなたって人は……」
 マーフィは感激のあまり喉が詰まり、さらには涙ぐんでさえいた。そして流れ落ちた涙の一雫が、偶然にも地図の上を伝って流れ――宝が隠されているというしるしのマークが、そこに浮かび上がってくる。
「ですが、どうしてなんですか、ワイミーさん。どうしてあなたという人は、わたしらに対してここまでよくしてくださったんでしょうか」
「いえ、一応事件は大体のところすべて解決したとはいえ――ここ数か月に渡って、わたしが村の人たちの心を色々な意味でかき乱してしまったのは確かですから……そのことに対するせめてもの謝罪の品といったところですよ」
 Lはそのあと、マーフィ村長に自分の考えとしては暫くその地図は隠しておいたほうがいいだろうと思うということと、いつか今以上に発展した村が財政的危機に陥った時にでも――伝家の宝刀のような形で使用してはどうかとアドバイスしておいた。
 こうして、その次の日の夜にLは、暗闇に乗じて姿を消し、ラケルもまたその数日後にウィンチェスターの城館へと戻るということになったのだった。
 もっとも、一枚の置き手紙のみを残して突如いなくなったLのことを、ヴォーモン夫人自身は別段なんとも思っていなかったのだが――<世界一の朝食>を作れるメイドがいなくなるのは、彼女にとって痛恨の極みともいえる出来事であった。
「本当に、このままいってしまうのかい?」
 わざわざ空港までリムジンで送ってくれたヴォーモン夫人に対して、最後まで心苦しいものを感じながら、ラケルは彼女に対してささやかばかりのお詫びとして、自分の秘蔵のレシピを手渡すことにしていた。
「これに、色々細かく調理の方法を書いておきましたから――新しくきたメイドさんがもしあまりお料理上手じゃなかったとしても、きっと同じものが作れるはずですわ。あとはアニーおばさんがきちんと監督さえしてくだされば、万事うまくいくと思います」
 ヴォーモン夫人は「またいつでも来ておくれね」と、彼女にしては珍しく、真心のこもった握手を空港のロビーでラケルと交わしていた。アニスは自分の可愛がっている本当の姪が手に届かないところへいってしまうような――そんなわびしい気持ちをこの時味わっていたのである。
 そしてラケル以上のメイドなど、この先クレマチス邸へやってくることはないだろうと絶望に似た気持ちを覚えつつ、ラケルのくれた貴重なレシピ帳を大切そうに自分の懐へしまいこんだのであった。
 この後、ロム・キルヒューレンと呼ばれる少年は、このヴォーモン夫人が後見人となり、教養のあるしっかりとした若者へ成長していくのだが――その彼がロックウェル家の三女のジュディと結婚し、ロスファイエ村の名士となっていくのは、また後日の話ということになる。



 >>続く……。




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